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中央ニュース

2025/11/12

建設現場の環境改善事例を収集 女性就業促進へ「手引き」

 国土交通省は、女性技術者・技能者の活躍と定着を促進するため、2026年度に現場環境の改善に向けた先進事例を調査する。これまで進めてきた「快適トイレ」の整備だけでなく、更衣室や休憩所といった幅広い環境改善の工夫を収集・整理し、現場に取り入れるための手引きを作成する。
 3月に官民で策定した「建設産業における女性活躍・定着促進に向けた実行計画」を踏まえた取り組み。29年度までを対象とした同計画では、女性技術者・技能者の人数や、管理職に占める女性の割合を毎年増加させるとの目標を設定。現場環境の改善や経営者の意識改革をはじめ、官民が取り組むべき事項を示した。
 国交省は同計画と合わせ、「快適に利用できるトイレ」に関する事例集を公表済み。ただ、事例集作成に向けて実施したアンケートでは、直轄工事と比べて地方自治体の発注工事や民間工事での快適トイレ導入など、働きやすい現場環境の整備に遅れが見られることが明らかになった。3大都市圏と比べ、地方での取り組みが進んでいない傾向も見られた。
 26年度は、快適なトイレ整備のさらなる推進に加え、現場の環境改善に向けたメニューとして▽更衣室▽休憩所▽洗面所▽シャワー設備▽冷暖房機器―といった先進事例を収集する。女性技術者・技能者を含め、誰もが働きやすい現場環境の実現に向けて、導入の手引きを作成・周知する。
 ソフト面でも対策を講じる。例えば、現場で一堂に会する朝礼は、ICTを活用して遠隔からも参加できるような事例を想定。朝、子どもを送り迎えする時間を確保しやすくするなど、男女を問わず多様な働き方を選べる柔軟な現場運営、作業分担の手法を調べる。優れた事例を把握し、水平展開する。
 25年度末までに、多様な働き方の導入事例集もまとめる。建設産業で技術者や技能者として働き、出産・育児を経験した人へのヒアリングの結果を踏まえ、職場環境の課題や対応策も整理する。育休・産休からの復帰や時短勤務などの事例を掲載する。多様な働き方の導入事例集を活用し、26年度には経営者向けのセミナーを開催。産業全体の9割以上を占める中小企業の経営者の意識改革を後押しする。

提供:建通新聞社