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2025/11/25

全国建設業協会地域懇談会・ブロック会議(5) 九州

 九州建設業協会(根〆眞悟会長・長崎県建設業協会長)は10月22日、大分市内で2025年度(第103回)定例懇談会を開いた。懇談では▽熱中症対策の歩掛見直し▽最低制限価格(低入札調査基準価格)の見直し▽地域建設業の広報―などについて、国や各県の取り組みなどが報告された。
 行政側から国土交通省本省、九州地方整備局と沖縄総合事務局の幹部、九州・沖縄各県と政令市の土木建築行政トップらが、協会側から全国建設業協会(全建)の今井雅則会長をはじめ、九州各県の建設業協会役員など約100人が出席。
 根〆会長が「6月に新たな国土強靱化実施中期計画が閣議決定され、大いに期待している。九州では半導体関連企業の進出が多く、九州全体で道路をはじめとしたインフラ整備が重要となっている。建設業が公益的機能を果すためには、安定的、持続的な事業量と適正な利潤が確保され、若者に持続可能な産業だと認識してもらわなければならない。私たちも処遇改善をはじめ、生産性向上、働き方改革の推進に取り組み、魅力のある産業を目指していきたい」などとあいさつした。
 来賓の佐藤樹一郎大分県知事が「強靱な県土づくりを掲げ、ハード、ソフトの両面で取り組んでいる。大分県ではミッシングリンクの解消に取り組んでおり、東九州新幹線、豊予海峡ルートの構想も進めている。バランスの取れた国土の発展、災害に強い国土づくりには、広域交通ネットワークは不可欠だ」と支援を訴えた。
 また、全建の今井会長が「自然災害が激甚化、頻発化しており、酷暑・防災減災対策など、国土強靱化は待ったなしだ。地域建設業が地域の守り手として役割を果たすためには、安定的な事業量の確保などが必要で、強靱化中期計画の着実な執行を含め、必要かつ十分な公共事業予算の確保が望まれる」などと述べた。 
 懇談では、まず「熱中症対策としての現場実態に見合った歩掛りの見直し」が取り上げられ、協会側から休憩・休息時間増加により、日当たり作業時間の減少、現場作業員の疲労による作業効率の低下などがあるため、作業実態に応じた作業量の改定や亜熱帯補正を準用した歩掛の見直しを要望。
 国交省からは、「猛暑を避けて施工など、選択可能な環境を整え、暑い中での作業がマイナスイメージにならないよう、安全確保を最優先にしていきたい」と返答があり、各県が自県の取り組みについて報告したが、国に準拠しているため、国の新たな取り組みに期待する声が上がった。
 最低制限価格などについては、協会側から標準労務費を「1・00」へ見直し、一般管理費等を「0・80」へ引き上げ、最低制限価格(低入札調査基準価格)の上限値を9・5/10へ引き上げと上限値撤廃に向けた働きかけを要望し、国交省からは公共工事の実態把握に努め、適切に対応したいと回答した。
 地域建設業の広報では、各県とも官民一体で小・中学生、高校生向けの各イベントを実施しており、熊本県は同県と建設業協会が災害発生時に被災状況を共有する「災害情報共有システム」の一部を報道で使用し、最前線で応急復旧に取り組む建設業者の理解促進に努めているとした。
 最後に熊本県建設業協会の前川浩志会長が地域建設業の事業継続体制を維持するため、▽強靱化中期計画の事業量の早期確保、九州・沖縄地方への公共事業予算の持続的な増額確保と重点配分▽予定価格の上限拘束性の撤廃、低入札調査基準価格の算定式見直し、上限値の撤廃などの追加的支援の策定▽担い手確保と生産性向上に向けた実効性のある対策の確立、設計労務単価と諸経費の引き上げ、実態を踏まえた標準歩掛の改善―を全建から国へ働きかけるよう、決議文を今井会長へ手渡した。
(地方建設専門紙の会・大分建設新聞社)