政府は11月14日、改正建設業法・入札契約適正化法の施行日を12月12日とする建設業法施行令の改正政令を閣議決定した。建設業者が見積もった必要額を著しく下回るような請負契約を締結した注文者に対し、国土交通大臣が勧告できる下限額を500万円以上(建築一式工事は1500万円以上)と規定。技能者の処遇を改善し、建設業を持続可能にすることを目指した改正法の全面施行となる。
改正建設業法では、建設業者に対して適正施工の必要経費を記載した材料費等記載見積書を作成する努力義務を課す。必要経費としては、材料費や労務費とともに、法定福利費(事業主負担分)と安全衛生経費、建設業退職金共済制度の掛金が該当する。
公共工事についても改正入契法に基づき、これらの必要経費を明らかにするよう求める。
法施行により、必要額を著しく下回るような建設業者の見積もりや、注文者による見積もり変更依頼が禁止される。今回の政令で、必要額が500万円以上のとき、国交大臣・都道府県知事が注文者に対して勧告・公表できるようになる。
この他、受注側の建設業者に対して総価での原価割れ契約を禁止し、労務費を確保したように見せて他の経費を減らすようなダンピング手法をけん制。著しく短い工期による契約締結も禁止し、工期ダンピング対策とする。
一連の規定により、発注者から元請け、下請けまで必要な労務費が支払われ、技能者に適正な賃金が行き渡るようにする。担い手不足が懸念される中、技能者の賃金水準を改善し、建設業が将来にわたって持続できるようにする。
提供:建通新聞社