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2025/11/14

建築確認申請の審査期間 改正法施行前の5倍以上に

 建築物省エネ法・建築基準法改正の影響に関する国土交通省の調査で、改正法の施行前と比べ、建築確認申請の審査期間が5倍以上に伸びていることが分かった。事前審査から確認済証の交付までに掛かった期間は、法改正前が3〜7日だったのに対して、9月末時点の調査では39日まで延びている。国交省はこの対策として、申請者にAIを活用した申請図書の事前チェックサービスを活用してもらうことで、審査機関の負担軽減を図る考えだ。
 法改正により、4月からは、それまで建築確認申請の一部を省略できた4号建築物(2階建て・平屋などの小規模な木造建築物)について、構造や省エネ性能に関する図書の提出が必要となった。審査業務が増加するため、国交省はこの法改正による審査期間への影響を調査した。
 調査対象は、全国的にも審査件数が多かったり、改正法施行後に着工戸数が大幅に減少した地域の指定確認検査機関15機関。6月末と9月末に審査状況をヒアリングした。
 ヒアリングの結果、調査の対象とした半数以上の機関で、審査期間が大幅に増加していることが分かった。事前審査から確認済証の交付までに掛かる平均処理期間は、6月末時点で約29日、9月末時点で約39日まで増加した。不慣れな設計者への対応や、構造計算書の審査などによる申請1件当たりに要する時間の増加、審査員の不足などが、審査期間が延びた原因だという。
 こうした状況に対応するために国交省は、11月10日から、AIを活用して申請図書の内容を事前にチェックするオンラインサービスの提供を開始した。申請者に、審査期間への申請前に自己チェックしてもらうことで、申請図書の不備を削減し、審査を円滑にする狙い。
 また、国交省は、設計者団体や建設業団体、その他の関係団体にも、確認申請手続きの進捗やその後の着工の実態を調査した。
 住宅生産団体と設計者団体からは一部地域で確認済証の交付に遅れが出ているとの声があった。関係団体からは、リフォームに関して、「多くの事業者が、コストの増加や事業スケジュール延長への影響があると考えている」との回答があった。
 さらに関係団体からは、壁量規定の厳格化や構造計算対象の拡大が、従来の掛率計算による設計費の不足につながり、施主への費用転嫁や構造技術者の報酬低下を招いているとした。この他、地場ビルダーは確認申請の遅れにより棟数が伸びていない状況だという。

提供:建通新聞社