国土交通省は、生成AI(人工知能)を活用したインフラ管理の高度化を進めている。全国の道路・河川などに多数設置しているCCTVカメラを活用し、交通事故や災害による被災といった異常事態を検知。出先事務所や委託による監視の負担を軽減し、迅速な注意喚起や復旧につなげる。
現行の体制では、各地方整備局や事務所が直営・外注の監視員を常時配置し、周期的に切り替わる多数のCCTVカメラを監視している。カメラ台数の増加に伴い、目視による異常事態の確認には多くの時間・労力を費やしている。
監視業務の精度を高めるとともに省人化を進めるため、国交省はAIによる画像認識技術を使い、異常事態を検知するシステムを導入してきた。これまでに、河川敷の人物や車両、道路の逆走、渋滞、雪道のスタックなどに検知技術が活用されている。
検知対象が一部にとどまり、精度も低いことから、国交省はAIの性能向上を検討。特に、AIの精度向上に必要な学習用のデータが、災害のようなまれな事態については準備しにくいという課題があった。
そこで、AIを活用して越波や雪道のスタックなど、発生頻度の低い異常事態の高精度画像を多数生成。実際の災害事例とともに追加の学習データとしてAI画像を活用し、精度を向上させるとしている。
また、AIを活用して画像から異常を検知し、その根拠を文章で回答させるシステムも構築する。道路管理者や維持管理の受託者がアンダーパスの冠水、法面崩落といった異常事態を把握し、対応の要否の判断を支援する。インフラ自体の損傷の検知にも活用する。
AI開発のための仕様を国交省としてまとめ、他の道路管理者がシステムを発注する際の参考としてもらう。
提供:建通新聞社