政府は11月21日、「強い経済」の実現をうたった新たな経済対策を閣議決定した。民間資金を含めた事業規模は42・8兆円程度、裏付けとなる2025年度補正予算の一般会計追加額は17・7兆円とし、いずれも前年を上回った。柱の一つに危機管理投資・成長投資による強い経済の実現を位置付け、第1次国土強靱化実施中期計画の初年度分の必要額を措置する。物価高対策では、公共事業の価格転嫁を進めながら必要な事業量を確保するとした。
政府は、対策の実施に必要な25年度補正予算案を速やかに編成し、開会中の臨時国会に提出する。
国交省関係の施策を見ると、第1次国土強靱化実施中期計画に基づく取り組みを着実に推進するとともに、安定財源の確保に向けた具体策を検討する。労務費・資材価格の高騰による影響を考慮しながら、初年度については25年度補正予算から「必要かつ十分な額を措置する」とした。
具体的な施策としては、デジタル技術や衛星情報の活用により、インフラの整備・管理を高度化する。予防保全型のメンテナンス対策への転換、地方自治体の取り組み状況の可視化を通じ、インフラ老朽化対策を加速させる。流域治水の推進や交通網の強化、上下水道の基盤強化も盛り込んだ。
26年度の防災庁設置を見据え、防災体制を充実・強化する。地域ごとの分野横断的な災害リスク評価や、既存の枠組みにとらわれない危機管理用宿舎の整備を進める。
能登半島地震からの復旧・復興に向け、災害公営住宅の整備や災害廃棄物処理、地籍調査の加速などの施策も推進する。
物価高対策では、公共発注者の官公需について「重点支援地方交付金」を活用して労務費を含めた価格転嫁を促進する。公共事業では、労務費確保の必要性や近年の資材価格高騰の影響を考慮し、適切な価格転嫁とともに必要な事業量を確保する。
重点支援地方交付金を拡充し、賃上げ促進税制を活用できない中小企業・小規模事業者を支援する推奨事業メニューを新設。事業承継・M&Aの支援強化に加え、人手不足でも中堅・中小企業の「稼ぐ力」を強化する戦略を検討する。
特に建設業に対しては、第3次担い手3法のに基づく施策の推進に加え、災害対応力強化につながるICT技術の活用を促進する。
提供:建通新聞社