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2025/11/26

自治体工事の重層構造適正化 下請次数制限、加点評価も

 国土交通省が地方自治体による重層下請け構造の適正化に向けた事例を調査したところ、三重県、福井県、京都府、鳥取県、徳島県、和歌山県、長崎県の1府6県が発注工事で対策を講じていることが分かった。下請け次数に一定の制限を加える仕組みが大半で、次数を一定範囲に抑えた場合に総合評価落札方式で加点評価する事例もあった。
 都道府県・政令市を対象にアンケートを実施した。制限を加える次数としては、建築一式工事が3次まで、土木一式工事などその他の工事が2次までとしている団体が大半だった。
 重層下請けの適正化に向けた具体的な取り組み状況を見ると、下請け次数を制限しているのは、三重県、福井県、京都府、鳥取県、徳島県。徳島県のみは当初契約の請負金額5000万円以上の工事が対象で、その他は原則全ての工事が対象となる。
 ただし、一定次数を超える契約も必ず禁止されるとは限らない。書面による発注者の承諾を求める三重県や、専門性の高い工事で理由書の提出を求める京都府のように、やむを得ない場合に発注者の確認を経て制限を緩和するような運用が中心となっている。
 次数に制限を加える根拠としては、建築一式工事は3次まで、土木一式工事は2次までとなっている発注工事の実態を踏まえたとの回答が多かった。福井県は、重層下請けについて「指揮系統が煩雑になり、施工責任があいまいになる」ことを課題視していた。
 一方、和歌山県は建築や土木、電気、管以外の専門工事業種による工事を対象に、下請け次数を1次までとする制限を課している。専門工事業者が元請けとして受注しやすくなることで、専門性の高い技能者や資機材を抱えた専門工事業者の育成につなげる狙いがあるとしている。
 この他、長崎県は総合評価落札方式の加点項目に「適切な下請け契約」を設定。建築一式工事で3次、それ以外で2次まで下請け次数を制限すると誓約した場合に加点評価し、建設業者の自主的な取り組みを促す手法としている。
 国交省は22年度、都道府県を対象に発注工事の下請け次数の実態に関する調査を実施。その際は、公共建築の大半が「3次以内」、公共土木が「2次以内」とされた。大規模・特殊な工事や繁忙期の工事で次数が増える傾向が見られた。

提供:建通新聞社