国土交通省関係の2025年度補正予算案で、公共事業費が前年度比9・1%増の2兆0873億円となることが分かった。このうち国土強靱化(実施中期計画)の関連は35・2%増の1兆2346億円。補正予算に盛り込む国費の総額は10・4%増の2兆4817億円となる。経済対策の裏付けとしてきょう11月28日に閣議決定し、早期の成立を目指す。
労務費確保の必要性や、資機材価格の高騰の影響を考慮して価格転嫁するとともに、必要な事業量を確保できる予算案とした。公共事業費2兆0873億円は、前年度を1748億円上回る額となる。
国交省とともに政府の公共事業予算の大半を占める農林水産省は補正予算案に公共事業費として9・5%増の4290億円を盛り込む。国交省と合算すると2・5兆円となり、国交省・農水省だけでも前年度補正予算に盛り込まれた政府全体の公共事業費2兆3506億を上回る。
国交省の25年度補正予算案では、第1次国土強靱化実施中期計画の初年度分として1兆2346億円を計上した。前年度の補正予算に盛り込んだ国土強靱化「5か年加速化対策」の最終年度分と比べて3214億円上回った。
防災・減災、国土強靱化の主な項目としては、国土強靱化につながる道路ネットワークの整備・機能強化に2122億円、道路インフラの局所的な対策に516億円、気候変動に対応する流域治水の推進に2756億円を計上。埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を踏まえた重要インフラの老朽化対策に1752億円、地方自治体の重点的な取り組みを支援する防災・安全交付金に4075億円を充てる。
能登半島地震などの災害で被災したインフラの復旧、再度災害防止対策には4951億円を盛り込む。能登半島での復旧・復興に向けた住まいの確保にも208億円を計上する。
この他、エネルギー・資源安全保障の強化に向けた施策として、省エネ性能の高い住宅に対する支援に2050億円を盛り込む。ZEH水準住宅や長期優良住宅の新築や、特に省エネ性能の高いGX志向型住宅の新築、省エネ改修などを支援する。
国庫債務負担行為は、国土強靱化実施中期計画に基づく大規模事業を円滑に執行するための「事業加速円滑化国債」に1291億円、積雪寒冷地域などの地域の実情に応じた公共事業の発注措置となる「ゼロ国債」に777億円を見込む(いずれも事業費ベース)。
提供:建通新聞社