政府の2025年度補正予算案で、国土強靱化関係の公共事業費は前年度比6・7%増の1兆6539億円となった。このうち、第1次国土強靱化実施中期計画の初年度分には1兆5506億円を計上した。
現行の「防災・減災、国土強靱化に向けた5か年加速化対策」でも、事業費は全て補正予算により計上されてきた。後継として6月に決定した国土強靱化実施中期計画は、26〜30年度の計画期間中に実施すべき公共工事や国のソフト対策、民間事業を積み上げて事業規模を「おおむね20兆円強」と設定。今回、初年度分として補正予算案に国費1兆9159億円を盛り込んだ。
実施中期計画に関連して補正予算案に計上した国費のうち、公共事業費は1兆5500億円。前年度補正予算の「5か年加速化対策」関連の公共事業費1兆4063億円と比べると10・2%の増加となった。
ただし、前年度は5か年加速化対策の最終年度分に、労務費上昇・資機材価格高騰に対応するための「緊急対応枠」3000億円と、能登半島地震の教訓を踏まえて対処すべき経費2500億円を盛り込んでいる。25年度補正予算案ではこうした「枠」を計上しておらず、物価上昇分などは適切に見込んだ上で事業費を計上したとしている。
実施中期計画に計上した事業規模「20兆円強」を計画期間の5年間で均等に割ると、各年度の事業規模は4兆円以上となる。一方、初年度分として公共事業費とソフト対策に盛り込んだ国費は1兆9159億円で、事業規模は3兆1455億円。ただし、国は今後のフォローアップを経て民間事業者による事業分を追加計上するとしている。
実施中期計画の初年度分の対策内容を見ると、▽防災インフラの整備・管理は国費7473億円▽ライフライン強靱化は7031億円▽デジタルなど新技術活用は1261億円▽官民連携強化(建築物耐震化など)は1398億円▽地域防災力強化(学校の耐災害性強化)は1996億円―を投じる。
提供:建通新聞社