中小企業庁は、9月の「価格交渉促進月間」のフォローアップ調査の結果を公表した。建設業の価格交渉の実施状況を見ると、発注企業から価格交渉を申し入れた割合は、前年同期比8・5ポイント増の37・7%。一方、価格交渉が行われなかった割合は、2・8ポイント減の5・5%だった。
価格転嫁が行われなかった企業のうち、発注の減少や取引停止などを恐れて価格交渉しなかった割合は、前年同期比2・3ポイント減の3・9%。価格交渉を申し入れたものの、発注企業が交渉に応じなかった割合は、0・5ポイント減の1・6%だった。
受注企業からは、「下請けの意見を聞く姿勢が強まり、利益を確保できる状況になった」といった意見がある一方、「入金管理が不明確で資金繰り予測ができない」といった声もあった。
発注企業のコスト増に対する価格転嫁率を見ると、建設業は53・2%で、全業種の平均を0・3ポイント下回った。要素別の転嫁率は、原材料費が53・9%、エネルギー費が49・8%、労務費が51・6%だった。
また、官公需の価格交渉・価格転嫁の状況も調査し、公共工事の価格転嫁率は52・9%だった。調査に回答した企業のうち、16・1%の企業は、「転嫁率が0割」または「転嫁率がマイナス」と回答した。
中企庁は、全業種で発注企業からの申し入れによる価格転嫁が浸透しつつあるものの、価格転嫁率をサプライチェーンの各段階で見ると、1次下請けの価格転嫁率が54・7%だったのに対し、4次下請け以上の企業は42・1%と低くなっていると指摘。取引階層の深い次数での価格転嫁の浸透が課題とまとめた。
提供:建通新聞社