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中央ニュース

2025/12/04

全ての直轄業務でスライド試行 26年度以降の新規契約から

 国土交通省は、2026年度以降に新規に契約する全ての建設コンサルタント業務でスライド制度を試行すると発表した。直轄土木や官庁営繕、港湾空港など全ての分野で必要となる設計、測量、地質調査、補償コンサルタントといった業務が対象となる。近年、上昇が続く技術者単価に基づく賃金の適切な反映を念頭に置いたもので、年度をまたぐ業務での適用を想定している。
 原則、全ての業務で入札説明書と特記仕様書に業務スライドの適用を明記する。対応するのは全体スライドとインフレスライドで、運用は工事でのスライドの取り扱いに準拠する。残りの履行期間が2カ月以上ある業務について、未着手となっている残業務量分の変動額が残業務委託料の1・5%(インフレスライドは1%)を超えている場合に適用する。
 建設コンサルタント業務では、委託料の大きな割合を人件費が占める。技術者単価は直近13年間にわたって上昇が続く一方で、業務の履行期間を平準化する観点から2カ年業務や年度を繰り越す業務が増加。例年、3月に改定される技術者単価の反映されない業務が多いとし、建設コンサルタンツ協会、全国測量設計業協会連合会、全国地質調査業協会がスライド条項の導入を求めていた。
 工事では、未着手の構造物や未購入の資材などを判断しやすい一方で、建設コンサルタント業務の場合は未着手の作業を慎重に判定する必要がある。国交省は、残業務量の算出を試行して適用性を確認する。契約の変更後には受注者の協力を得てフォローアップ調査も実施する予定で、業務におけるスライド運用のさらなる改善に生かす。
 今回の試行では、賃金の変動時点で着手済みか未着手かを、明確に確認でき、スライド額を適切に算定できる業務から適用する。
 履行済み部分の数量は、数量総括表の項目を確認する。スライドの基準日(通常は新たな技術者単価の適用日)時点で「既履行」「着手済み」「未着手」に分類し、増額スライドの場合は「未着手」のみを残業務量部分と位置付ける。
 基準日以降に着手するのが適切な項目で、基準日以前に着手していないことが明確に確認できる項目に限り、「未着手」と認める。また、受注者の責任で遅延している業務量は未着手とは認められない。

提供:建通新聞社