建設業団体や発注者団体、国土交通省など106団体で構成する建設キャリアアップシステム(CCUS)処遇改善推進協議会が12月4日に開かれ、近く全面施行する改正建設業法を巡って意見を交わした。日本建設業連合会は、サプライチェーン全体での価格転嫁を確実に行える環境整備が重要になるとの意見が寄せられ、特に発注者の理解が得られるよう、国交省に対して「強力な指導」を求めた。
国交省の中央建設業審議会が2日に作成・勧告した「労務費の基準」に基づき、改正法が全面施行する12月12日以降は著しく低い労務費による見積りや契約が禁止される。
CCUS処遇改善推進協議会には元請け・専門工事業の双方の団体や、日本経済団体連合会などの民間発注者団体、全国知事会などの地方自治体関係団体が参加する。国交省は今回、協議会を通じて建設工事のサプライチェーン全体に制度改正を周知した。
日建連は国に対し、特に建設Gメンによる調査指導や、技能者個人による賃金の通報制度など、労務費の基準に実効性を持たせるための施策を周知徹底するよう求めた。
専門工事業の立場からも意見が寄せられた。日本塗装工業会は、物価資料でいわゆる材工一式の単価となっていることに触れ、材料費の高騰が労務費を圧迫している現状を説明した。
日本シヤッター・ドア協会は、シャッターやドアの施工に関わる公共工事設計労務単価が設定されていないとした。
国交省は、受発注者双方に制度の周知徹底を急ぐ考えを示すとともに、適正な労務費を見積もる慣行の定着が将来の単価アップにもつながるとし、積極的な取り組みを求めた。
提供:建通新聞社