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2025/12/17

24道県・4政令市で地域維持型 地域業者の安定受注に効果

 国土交通省の調査で、地域のインフラ維持管理事業を地元建設業者への複数年契約や一括発注で実施する「地域維持型契約方式」を都道府県の過半数に当たる24道県が導入していることが分かった。政令市も4団体で活用。効果・メリットには、地元業者の受注の安定化を通じた担い手確保を挙げている団体が多かった他、発注担当職員の事務負担軽減につなげている例も見られた。
 地域維持型契約は、災害時の応急対策や除雪、修繕、平時のパトロールといった維持管理事業を対象に、複数年契約や複数業務の一括発注、JVや事業協同組合による共同受注を取り入れる発注手法。オペレーター・機械不足や、小ロットによる非効率といった地域の維持管理事業に特有の課題の解消に有効とされる。
 国交省が都道府県・政令市の実施状況を調べたところ、4道県と1政令市は維持管理事業全てに地域維持型契約方式を活用。20県・3政令市は個別の維持管理事業と併用していた。
 活用している28団体の実施内容(複数選択)は、複数業務の一括発注が18団体、共同受注が18団体、複数年契約が17団体となった。共同受注の体制は、地域維持型JVを採用する例が最も多かった。
 具体例を見ると、例えば静岡県は下田市内で県管理道と市管理道の包括管理委託を共同発注し、一体的な管理を試行している。愛知県では、災害時の巡視や応急工事、緊急維持修繕、雪氷対策を道路・河川、下水道管路などを地区単位で包括発注している。
 導入効果やメリットについては、地元業者の安定受注による担い手不足への対応と、災害時の対応力強化・施設管理水準の安定を挙げた団体が最多だった。自治体の技術職員不足が深刻化する中、発注関係事務の負担軽減にメリットを感じている団体も多かった。事業1件当たりの上限額を引き上げた三重県や、徐々に対象地域を増加させている兵庫県のように、地域維持型契約方式のさらなる活用を模索する団体もあった。
 競争性の確保や、受注した代表会社の負担の大きさなどを課題とする団体もあった。愛知県からは、「今後廃業などにより空白地域が発生する可能性を懸念」との声が寄せられた。愛媛県も、事業者数・従事者数の減少により地域維持型方式の継続に懸念があるとした。
 一方、地域維持型契約方式を未活用の団体においても、埼玉県や岐阜県、京都府のように総合評価による加点や入札要件の設定を通じ、地域維持事業の担い手確保対策を実施している団体があった。

提供:建通新聞社