厚生労働省は12月19日、機械の無人運転における安全確保等に関する専門家検討会の2回目の会合を開き、無人運転建機の労働災害防止に必要となる措置について、日本建設業連合会(日建連)など3団体にヒアリングした。日建連は、無人運転建機を安全に利用するためには、機械の作業エリアを明示し、他の機械と人を入れないよう現場を管理することが最も重要になるとの考えを示した。
ヒアリングでは、無人運転建機の開発・普及状況や、無人運転建機の利用が想定される作業などを踏まえ、労働災害防止に必要となる措置を聞き取った。
日建連のi―Construction推進部会ICT活用専門部会の黒台昌弘部会長は、無人運転機械に過度な安全機能を加えると、「省人化や生産性向上の目的から逸脱する可能性がある」とし、現場の労務管理、安全衛生管理によって、リスクを最小化すべきと指摘。
施工管理と安全管理能力の高い施工会社が、無人運転建機と人が作業するエリアを完全に分離しながら運用することが望ましいとし、「作業効率が下がっても、安全を担保した上で省人化を着実に進めることを目指す」と話した。
日本建設機械施工協会(JCMA)も、人と機械が混在しないエリアの設定と徹底した管理が重要とした。建機の停止時・トラブル時における無人区画内への立ち入りルールを策定すべきとした。運転者の資格については、講習内容を緩和し、遠隔操作による無人運転を前提とした技能講習に変更するよう要望。会員企業から、車いす使用者などの障害者を活用したいといった声が挙がっていると紹介した。
日本建設機械工業会(CEMA)も、「建機単体での安全確保には限界がある」とし、技術開発や企業の新規参入を促すためにも、建機に対する規制の水準を適切に設定するよう求めた。
施工者のリスク負担を軽減する方策として、無人運転自動車の保険を参考として、新たな保険商品の開発を検討すべきとした。
提供:建通新聞社