中央防災会議の「首都直下地震対策検討ワーキンググループ」は12月19日、首都直下地震による新たな被害想定をまとめた報告書を赤間二郎防災相に提出した=写真。報告書を受け取った赤間防災相は、「人的・物的被害を減らすために、社会全体として事前防災を推進する重要性を示してもらった。今後、政府でまとめる新たな首都直下地震緊急対策推進基本計画にしっかりと反映させたい」と述べた。
新たな被害想定では、2013年度時点の前回想定から、最大死者数が21・7%減の1・8万人、全壊・焼失棟数が34・4%減の約40万棟に減少している。耐震化や火災対策の進捗が現れた結果だが、14年度にまとめた現在の首都直下地震緊急対策推進基本計画で目標と定めた「死者数と全壊・焼失棟数の半減」には届かなかった。
未達の要因について、ワーキンググループの主査を務める増田寛也野村総合研究所顧問は、住宅の耐震化率と家具の固定率が目標に届かなかったことや、建物の増加といった環境の変化を挙げた。この結果を踏まえた今後の防災対策としては、「自助、共助、公助がそれぞれ役割を果たすことが重要」だと強調した。
各主体の役割については、公助としてのハード対策の重要性を示しつつ、「膨大な被害が想定される首都直下地震の被害は、行政や企業の防災対策だけでは軽減できない」として、家具の固定や感震ブレーカーの設置など、自助の必要性も訴えた。
提供:建通新聞社