国土交通省は、インフラ整備や維持管理、災害対応といった分野で「フィジカルAI」を活用するため、産学官による検討の場を立ち上げる。ロボット導入に向けた直轄現場での実証や、自動化建機のさらなる高度化に取り組み、既存技術を活用可能なものは1〜3年で実用化を目指す。関心ある企業・機関が一堂に会するピッチイベントを3月に開き、活動をスタートさせる。
フィジカルAIは、カメラやセンサーで得た情報を元に自律的に動作するAI。建設分野では、現場の省人化や猛暑など過酷な環境での作業の代替、危険を伴う災害対応などでの活用が期待されている。
国交省は現在のところ、重点対象分野として▽土木施工▽維持管理▽災害対応―の3分野を想定。今後、産学官による検討を通じて取り組み事項を絞り込む。
具体的には、人の作業を代替するロボットの開発・導入方策を検討する。直轄現場を実証・評価のフィールドとして活用することも検討している。
関連する技術が急速に進歩する中、建設分野に対応したフィジカルAIの効率的な開発を促すため、作業データや現場データの標準化、技術基準類・データ連携基盤の整備にも取り組む。個社がデータを囲い込み、結果として技術開発が阻害されないよう、競争・協調領域の整理や、企業間連携の仕組みを整える。
既存の建設機械にAIやセンサーを組み込み、人の作業を補完・代替できるような技術開発も進める。土木研究所では自動施工の技術基盤整備を進めており、AIを活用することで建機の高度な自律化を目指す。
ピッチイベントで収集した企業・機関の意向を踏まえ、建設分野におけるフィジカルAIの展望を示す。今後1〜3年間で、既存技術をベースに効果を確認できた技術の実用化を進める。5〜10年間で現場の変革につながるような技術を段階的に実用化することを目指す。
■技術シーズ・現場ニーズを収集
ピッチイベントは3月17日に都内の会場とオンラインのハイブリッド形式で開く。建設分野のフィジカルAIに活用できる技術(シーズ)を持つAI・ロボット開発企業や現場ニーズのある建設企業の他、研究機関や大学の参加を広く呼び掛けている。
現場の課題や技術情報の紹介・解説、意見交換などを予定。建設分野のフィジカルAI検討に関与したり、直轄工事での実証に参加する意向のある企業を把握できるようにする。
提供:建通新聞社