国土交通省の「建設市場整備推進事業費補助金」が、地域建設業のICT導入や災害対応力の向上に効果を発揮している。補助金の執行団体である全国建設業協会(全建、今井雅則会長)のまとめによると、新潟県内の会員企業は、雪崩による斜面崩壊を想定した冬季防災訓練に補助金で購入したICT建機を活用=写真。大規模な雪崩の応急復旧に対しても、省力化、接触事故の回避、2次災害のリスク低減といったICT活用の効果を確認できたという。
この補助金は、国交省が2024年度補正予算で初めて予算措置した。ICT導入に必要な地域建設業の初期投資の負担を軽減し、生産性向上につなげるのが狙いだ。補助率2分の1で購入費・リース料を支援したICT機器を防災訓練に活用してもらい、地域建設業の災害対応力を強化する目的もある。
全建が昨年6月に交付を決定した企業・団体62者は、ICT建機やドローン、レーザースキャナなどの購入費・リース料に補助金を充て、これらの機器を活用して防災訓練も行っている。
補助金の交付を受けた丸山工務所(新潟県十日町市)、大村建設(同市)、高橋工務所(同県津南町)の3社は今年1月、購入したICT機器を活用し、冬季防災訓練を実施した。国内有数の豪雪地域の十日町市は、今冬も記録的な大雪に見舞われている。防災訓練は、市内の国道での大規模な雪崩の発生を想定して行われた。
ドローンや地上型レーザースキャナーにより雪崩で崩壊した斜面の地形データを取得し、このデータから点群データを作成して崩落土量を算出。点群データをICT建機に転送し、マシンコントロールで排雪作業を行った。
掘削深さを自動制御できるICT建機を導入したことにより、人による掘削管理が不要になった。このため、ICT施工の経験がない若手でも、正確な掘削が可能になる効果を確認できたという。
現地作業が伴う地形測量は、災害の被災箇所では作業員に危険が伴う。ドローンを導入したことで危険箇所への立ち入りも不要になり、広範囲に点群データが取得できるようになった。
昨年11月、鳥取県倉吉市の中江組と井中組は、電波不感地帯での自然災害の発生を想定し、防災訓練を行った。補助金を充てて導入した衛星インターネットアクセスサービス「スターリンク」を使用し、倉吉市職員らと被災箇所の状況をリアルタイムで共有した。
従来は、現場に社員を派遣して状況を確認し、映像データを持ち帰って設計をまとめていたため、図面作成までに1〜2日を要していたが、点群データの活用によって図面作成の時間を1〜2時間に短縮できた。ICT建機を活用した土砂の撤去作業は遠隔操作で行われ、施工効率の改善と安全性の向上にもつながったという。
国交省は、24年度補正予算に措置した建設市場整備推進事業費補助金により、地域建設業のICTへの習熟を支援できたとして、25年度補正予算にも前年度を5000万円上回る3億円を計上。2月12日まで補助金交付を担う執行団体を募集している。
提供:建通新聞社