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2010/04/20

建設業の新分野進出の成功事例集 成功のポイントなど明確化 国交省

 国土交通省は、建設業の新分野進出の成功事例集をまとめた。新事業で売り上げや利益、雇用などが安定的・継続的に確保できている全国97社の事例を取り上げ、事業化に際しての課題やその解決のためのノウハウ、成功のポイントなどを明確化した。個々の事業の売上高や営業利益、従業員数、投資から売上が計上できるまでの期間も盛り込み、新分野進出の実態が把握しやすい内容となっている。4月中に地方整備局や都道府県、建設業関係団体に配布するとともに、国交省のホームページ(http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/const/index.html)にも掲載する。
 「建設企業の新たな挑戦―展開事例・支援策集2010」と題し、新たな分野で一定の成果を残している(見込みを含む)建設業を都道府県からの情報提供を基に抽出した上で、各企業の担当者へのインタビューで得られた内容を反映させた。
 それによると、97社の進出先は、農業が26社で最も多く、介護・福祉が21社、環境・リサイクルが15社、サービス業が14社、製造・販売業が7社、建設関連が6社、林業が5社、水産業が3社の順となった。
 分野ごとの傾向や特徴を見ると、農林水産業は本業の人材や機材、技術を活用している事例が多く、大半は販路拡大が成功の鍵と指摘している。生産の差別化や大規模化、加工・販売・飲食業などとの複業経営で、収益性を追求する事例も目立った。
 また、介護・福祉分野では、デイサービスやグループホーム、ショートステイといった施設型ビジネスを展開し、自社での設計・施工や遊休地の活用、原価管理など、建設業のノウハウを活用しているケースが多かった。一方、人材確保をめぐっては、建設業からの人材移動が困難であることに加え、離職率が高い点などが課題として挙がった。
 企業経営上の平均像は、本業の売上高が約13億5000万円、営業利益が約5120万円、従業員数が43・4人。新事業の収支状況は「現在のところまだ赤字」が39・2%で最も多かったものの、「黒字が定着しつつある」が22・7%、「おおむね収支均衡程度」が14・4%、「黒字が定着している」が7・2%などと続いた。
 新事業の平均売上高は1億9210万円。新事業で営業利益を上げている企業は79社(無回答を除く)中48社で、その平均額は2049万円。新事業の利益が企業全体の利益を上回ったのは37社だった。新事業への投資から売上計上までの平均期間は1年1カ月、利益計上までの平均期間は2年5カ月。新事業の従業員数は平均21人で、このうち新事業のための新規雇用者数は平均17人。単純計算で差し引き平均4人が建設業から労働移動したことになる。
 事例集には、各省庁などが提供する支援策や相談窓口などの情報も分野別に盛り込んでいる。

提供:建通新聞社