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2012/07/11

方策2012 下請け評価制度や新たな契約手法の構築を提言

 国土交通省の「建設産業戦略会議」(座長・大森文彦東洋大学教授)は10日、足腰の強い建設産業の構築や多様なニーズ・役割への対応を見据えた提言「建設産業の再生と発展のための方策2012」(方策2012)をまとめた。公正な下請契約の締結や技能労働者の雇用・育成などに取り組む人を大切にする施工力ある企業≠ェ評価される仕組みが必要として、専門工事業者の評価制度を構築し発注時の元請け評価などで活用することを提起。CMを活用した設計・施工一括発注方式の試行などを通じて、新たな契約手法を円滑に導入できる環境整備も必要とした。
 方策2012では、11年6月にまとめた方策2011に加えて取り組む対策を明示した。@適正な競争環境の整備A総合的な担い手の確保・育成支援Bプロジェクトに対応した円滑な契約のための支援C海外展開支援策の強化D時代のニーズに対応した施工技術・品質確保―の計5項目を当面の対策に位置付けた。
 適正な競争環境の整備に当たっては、ダンピング対策を一体的に推進するとともに、地域建設産業の将来像や事業の品質確保に向けた取り組みを地域や工事種別ごとに検討すべきとした。特に人を大切にする施工力ある企業が適正に評価される競争環境の整備が重要と指摘。入札の各段階での企業評価で、実際に工事を行う専門工事業者の評価を加味するほか、専門工事業者評価制度を導入し発注での元請け評価に活用する仕組みを早期に検討すべきと訴えた。
 担い手の確保・育成支援をめぐっては、社会保険未加入対策を徹底するとともに、技能が見える化≠ナきる仕組みを検討。中期的には、新たな専門工事業評価制度と連携し、優秀な技能労働者などの評価につなげることも必要とした。
 プロジェクトに対応した円滑な契約の観点からは、被災地で試行するCMを活用した設計・施工一括発注方式(オープンブック方式、コスト&フィー方式を含む)を検証した上で、CMRの登録(届出)制度の導入を提言。CMの実績が経営事項審査で評価されないといった制度的課題への対応も必要とした。こうした取り組みを通じ、日本の建設生産システムを踏まえた「日本型CM方式」の確立を目指す考えだ。
 また、時代のニーズに合った公共調達を実現するため、現行の会計制度との整合性確保や多様な契約方式を運用する上での対策を今後の課題に位置付けた。賃金や資材価格の急激な変動に対応できるよう、予定価格の算定方法の工夫も求めた。
 海外展開支援の強化に向けては、「海外展開経営塾」(仮称)の開催などを提起した。施工技術・品質確保では、維持更新時代や低炭素・循環型社会での拡大を踏まえ業種区分の見直しを進める。リフォームトラブルを防止する観点からは、建設業許可の対象外となる軽微な工事の取り扱いを早期に検討する。
 このほか、東日本大震災からの教訓を生かすため、復興JVを共同企業体運用準則に位置付けることや、現在講じている震災対策を恒久的な措置として一般化することを求めた。

提供:建通新聞社