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2013/08/27

消費税率の経過措置 仕入税額控除で損益に影響でず 国交省「適正な転嫁を」

 消費税引き上げの最終判断が迫る中、工事の請負契約では、10月1日以降に契約し、2014年4月1日以降に引き渡す場合、新税率を先行して適用する経過措置期間がスタートする。この経過措置により、元請けは10月1日以前に現行税率の5%で契約しても、10月1日以降の下請け契約は新税率の8%で結ぶことが求められる。経過措置期間中に元請け・下請け間で納税額の差が生じることから、国土交通省は、6月に成立した消費税転嫁対策特別措置法に基づき、転嫁を拒否する事業者への監視を強化する。
 工事の請負契約に関する消費税については、ことし10月1日以降に契約し、新税率が正式に施行される14年4月1日以降に引渡しを行うものに、新税率を先行して適用する経過措置が講じられる。10月1日以前の契約で14年4月1日以降に引き渡す場合でも、10月1日以降に増額変更すれば変更分の契約額に新税率が適用される。
 しかし、前回の消費税引き上げ(3%から5%)時にも、新税率が適用される契約で元請けが下請けに対して引き上げ分の消費税の支払いを拒否したり、設計変更による増額分が生じた際に発注者の理解を得られず、税率の差分(2%)を元請けが負担したケースがあったという。
 こうした過去の転嫁拒否事例を教訓に、政府はことし6月に消費税転嫁対策特措法を成立させ、税率の引き上げに伴う「減額」「買いたたき」「税抜き価格での交渉の拒否」などを禁止する転嫁拒否対策を講じることを決めた。違反行為を行った事業者に対しては、公正取引委員会が勧告・社名の公表なども行う。
 消費税は原則として売上げに係る消費税額から仕入れに係る消費税額を控除した金額が納付税額となる。このため、消費税が適正に転嫁されていれば適用税率の違いで事業者の損益に影響はない。
 例えば、経過措置が適用される工事の請負契約で、10月1日以前に発注者と1050万円(うち消費税50万円)の契約を結ぶと、10月1日以降の下請け契約に係る税率は新税率の8%が適用され、800万円の下請け契約を結ぼうとした場合、税額は40万円から64万円に引き上げられる。ただ、このケースでは仕入税額の控除により、支払った消費税額と同額の控除が15年度の確定申告の際に受けられ、最終的な元請けの損益に影響を与えることはない。
 国交省では「適用税率の違いで元請けの損益に影響はでない」として、経過措置段階での適正な転嫁を業界に呼び掛けている一方、政府が設置する「消費税価格転嫁等総合相談センター(仮称)」の分室を本省に設けるなど、監視体制の強化も図る方針でいる。


提供:建通新聞社