国土交通省官庁営繕部は、技能労働者の社会保険未加入対策として、官庁営繕事業の予定価格に法定福利費を適正に反映させる取り組みを開始する。官庁営繕部が予定価格の直接工事費の積算に活用するため「公共建築工事見積標準書式」を改定し、法定福利費(事業主負担分)を記載する項目を新設する。直接工事費を構成する「複合単価」と「市場単価」についても、法定福利費を上乗せできるよう補正する。官庁営繕部が10月1日に公告する工事から試行し、2014年度からは他府省や地方自治体などにも活用を促す。
官庁営繕事業の予定価格の直接工事費は▽見積単価▽複合単価(単位量当たりの材料費、労務費、機械器具経費、下請け経費の組み合わせ)▽市場単価(材料費、労務費、下請け経費を含む単位工事量当たりの取引価格を調査・作成)▽材料単価―の4要素で積算する。
このうち見積単価については、これまで各工事ごとに複数の資材メーカーや専門工事業者から見積もりを集めて作成。見積もりを提出する際の書式には「公共建築工事見積標準書式」を統一基準として定め、国の他府省や自治体などで使用している。
官庁営繕部ではこの書式を改定し、法定福利費の事業主負担分を記載する項目を追加。これまで「諸経費」の項目に法定福利費を一式計上するよう求めていたが、新たな項目を設けることで、より明確に法定福利費を見積額に盛り込むことができるようにする。
また、このほかの単価についても、法定福利費が適正に反映できるよう補正を加える。複合単価は下請け経費などの率を中間値から上限値に変更
、市場単価は法定福利費相当の補正を実施する。この二つの単価の補正で、予定価格の総額は1・5%程度上昇する見込みだという。材料単価については、製品価格に含むものとして補正は加えない。
10月1日以降に官庁営繕部が公告する工事(支出委任工事含む)に適用する。他府省や自治体、独立行政法人にも今回の改定内容を周知し、14年度から運用を開始するよう促す。国交省では、今回の取り組みが民間建築工事における技能労働者の法定福利費の確保にもつながることを期待している。
提供:建通新聞社