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中央ニュース

2015/01/20

社保加入率 労働者別5・6ポイント上昇

 国土交通省などが行った公共事業労務費調査(2014年10月時点、速報値)で、建設業の社会保険等3保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険)の労働者別加入率が前年度比5・6ポイント増の67・3%となり、同調査で加入状況の把握を始めた11年度以降で最高の伸びを示したことが明らかになった。昨年12月に同省が初めて行った民間建築工事に従事する労働者別の加入率も、健康保険で66・6%、厚生年金保険で67・1%、雇用保険で78・3%と、公共事業に従事する労働者を主な対象とする労務費調査の結果とほぼ同じ水準となっていることが分かった。
 公共工事設計労務単価の基礎となる労務費調査は、公共工事を受注する企業と所属する労働者を対象に賃金の実態を調べたもの。11年度から社会保険等の加入状況も合わせて回答を求めている。
 今回は、14年10月時点における労働者単位の加入率の速報値を19日に開かれた社会保険未加入対策推進協議会に示した。これによると、加入率は、雇用保険が3ポイント増の79・2%、健康保険が6ポイント増の72・4%、年金保険が5・3ポイント増の69・3%だった。
 3保険ともに加入している労働者は5・6ポイント増の67・3%で、調査を始めた11年10月時点と比べると、この3年で加入率は10・6ポイント上昇したことになる。
 加入率が大きく上昇した背景には、13年4月以降2度にわたる労務単価の大幅な引き上げ、直轄工事における保険未加入企業の排除、12年度に始まった建設業許可・更新時の指導などの対策が徐々に浸透してきたことがあるとみられる。国交省の建設市場整備課では「ここ数年の契約単価の上昇で、各企業に保険に加入する余裕が生まれたこともあるのではないか」とみている。
 国交省は、労務費調査では網羅していなかった、民間建築のみを受注する企業と労働者の加入状況の調査結果も報告。現場別に行った調査で明らかになった保険の加入率は、企業別が健康保険73・2%、厚生年金保険68・3%、雇用保険71・4%、労働者別が健康保険66・6%、厚生年金保険67・1%、雇用保険78・3%となった。
 保険の加入率は、民間建築の受注が中心となる企業、労働者でより低い傾向にあるとの懸念があったが、今回の調査結果を見る限りでは、労務費調査の結果と大きな差はみられなかった。
 一方、法定福利費を内訳明示した見積書(標準見積書)の活用状況をみると、見積書を提出した下請けの割合は現場別で34・9%にとどまった。ただ、内訳明示した見積書を提出された結果、見積金額全額を支払った企業は54・1%、見積総額は減額しても法定福利費は全額支払った企業は31・1%いた。内訳明示した見積書を提出されれば、法定福利費を支払っている企業が体勢を占める結果が出ている。

提供:建通新聞社