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中央ニュース

2015/03/10

インフラロボット 災害調査 実用化に期待 

 国土交通省は9日「次世代社会インフラ用ロボット現場検証委員会」を開き、同省直轄の現場を提供して行った検証の結果について意見を交わした。橋梁、トンネル、災害調査など五つの重点分野で行った現場検証は「結果的に点検のレベルに達している技術は見当たらなかった」(橋梁分野)と、改善を求める意見が多かったが「危険作業や人材不足の解消につながる」(水中調査)とロボット技術の優位性を認める声も上がった。一方、土砂崩落や火山災害を想定した災害状況調査への活用に向けては「十分に実用化のレベルにある」として、早期の現場導入を求める意見も出た。
 老朽化、災害の頻発、人口減少社会の到来といった社会資本を取り巻く現状に対し、国交省は限られた人員・予算で大量の点検を効率的に行ったり、人が立ち入ることが困難な地域で作業を行うインフラ用ロボットの開発・導入を検討している。
 橋梁、トンネル、水中、災害状況調査、災害応急復旧の5分野を重点分野とし、14年4〜5月に現場検証技術を公募。同年10月から68技術に直轄の現場を提供し、現場検証を行った。
 9日の会合では、分野別に設けた部会が検証結果を報告。橋梁分野では、近接して損傷を見つけることができたロボットもあったが「飛行ロボットは風に強くないことが明確に分かった」と、気象条件に性能が左右されることが判明したという。
 宮ケ瀬ダム(神奈川県)などで行われた水中点検の現場検証では、潜水士が調査することが難しい水深80〜100b程度を調査できるロボットの性能を確認した。
 現状で実用化に最も近いとみられるのが災害状況調査分野。被災箇所に「マルチコプター」で接近し、現場の状況を撮影・計測する技術などで「気象条件、現場状況に留意する必要はある」としながらも、早期の現場導入が可能だとの評価が報告された。一方、ロボットが実際の復旧作業まで行う応急復旧分野では、ロボットの耐久性と安定性の課題が指摘された。
 国交省は9日の会合を踏まえ、3月中に検証結果をまとめる。15年度も再度公募して現場検証を行い、16年度の試行導入、17年度以降の本格導入につなげる方針だ。

提供:建通新聞社