トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2015/06/04

解体工事業 技術者資格の枠組み固まる

 国土交通省の「解体工事の適正な施工確保に関する検討会」(座長・嘉納成男早稲田大学教授)は3日に発表した中間報告で、新設される解体工事業の許可取得に求められる技術者資格を提示した。1・2級土木施工管理技士、1・2級建築施工管理技士、技術士、とび技能士など既存の国家資格に加え、民間の解体工事施工技士を主任技術者の技術者要件に認めるよう提言。土木・建築施工管理技士と技術士の有資格者には関連講習の受講など、解体工事の施工能力の確認も求めた。加えて、国交省は、2016年6月の建設業法施行後、現在のとび・土工・コンクリート工事業の技術者資格でも解体工事業の許可を取得できる5年間の経過措置を設ける方針も新たに示した。
 検討会では、昨年8月から既存の技術者資格の試験機関などにヒアリングを実施。3日に会見した嘉納座長は「労働災害や公衆災害の発生を防止するという視点で、解体工事の技術者に求められる知識と経験を備え得る資格を選んだ」と中間報告をまとめた背景を説明した。
 中間報告で示された解体工事業における監理技術者の資格は▽1級土木施工管理技士▽1級建築施工管理技士▽技術士―の3資格。主任技術者は、監理技術者の資格に加え▽2級土木施工管理技士(土木)▽2級建築施工管理技士(建築、躯体)▽とび技能士(1級、2級)▽解体工事施工技士―とする。
 ただし、「元請けとして4500万円以上の工事に関し2年以上の指導監督的な実務経験」がある監理技術者、「大卒(指定学科)3年以上、高卒(同)4年以上、その他10年以上の実務経験」がある主任技術者には、新たな解体工事業の技術者資格を持たなくても、解体工事業の技術者として認める建設業法の規定を適用する。
 解体工事の実務経験年数は、現在のとび・土工工事の実務経験年数のうち、解体工事のみの工期を契約書で確認する。一つの契約で解体以外の工事も合わせて請け負ったケースでは、契約の工期を解体工事の実務経験年数としてカウントする。
 1・2級土木施工管理技士、1・2級建築施工管理技士、技術士の資格者には、一定期間以上の解体工事の実務経験を求め、実務経験がない技術者には関連する講習会の受講を義務付ける。新たな資格取得者の知識や技術力を担保するため、解体工事に関する問題を試験範囲に追加することも求める。

「法施行後5年の経過措置」

 国交省は、近く開始する中間報告のパブリックコメントと、検討会の最終報告を踏まえ、今秋に建設業法に基づく省令を改正、新たな技術者資格を決定する。改正建設業法における解体工事業の新設は2016年6月に施行されるが、2019年6月までの3年間は、現在のとび・土工工事業の許可でも解体工事業を請け負うことができる。
 また、16年6月以降に取得できる解体工事業の許可についても、現在のとび・土工事工事業の技術者資格で取得できる5年間の経過措置を別途設ける。法施行から5年後の21年3月以降、新たな技術者資格の有資格者がいない企業は解体工事業の建設業許可を取得することができなくなる。

提供:建通新聞社