トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2015/09/24

【連載】IT時代の打音ハンマー インフラ検査技術のいま(中)

【連載・北海道建設新聞社】
IT時代の打音ハンマー インフラ検査技術のいま(中)

■照明柱の「地際腐食」調査 電流検査で掘削不要に

 インフラ検査・維持管理展と同時開催のセミナーでは、学識者らが道路脇の照明柱などの地面に接する部分の腐食(地際腐食)を要因とした倒壊が頻発していることを指摘した。倒れた照明柱が通行中の自動車を押しつぶす事故も発生。しかし、腐食状況の評価には掘削調査が必要で時間と費用がかさむのが課題となっている。

 こうした状況を踏まえ、神戸製鋼グループのコベルコ科研(本社・神戸)と神鋼検査サービス(同・兵庫県高砂市)は、パルス渦流法と表面SH波法を組み合わせた検査技術を提案した。

 パルス渦流法は、センサーを地表に押し当て渦電流を送ることで金属の板厚を計測する方法。表面SH波法は、超音波を照明柱に沿って伝えることで、反射信号から腐食の有無や大きさを図ることができる。地面を掘削することなく1日に30本の処理が可能だという。

 神鋼検査サービス営業本部の上出朋弘さんは、ブースを訪れた道内の建設業関係者から「道内で数多く設置されている路肩表示(路肩を示す矢印付きのポール)も過酷な気象にさらされ劣化の不安がある。(同社の計測サービスを)利用できそうだ」との反応があったと話し、意外なニーズの発見に驚いていた。

 地際腐食を防止するための保護材の出展もあった。中日本ハイウェイメンテナンス中央(本社・東京)が企画し、東レ・ダウコーニング(同)が開発中の鋼製防護柵支柱等防錆(ぼうせい)材料「HMC1214」は、シリコーン製の塗料だ。

 従来、地際の防錆処理には、めっきのほか現場で防錆材料を巻き付ける作業が必要で時間を要していた。HMC1214は鋼柱を工場で加工する際に塗料を塗る形式とし、現場で巻き付けるという作業を不要にした。

 これにより、砂やほこりの付着を防ぎ、品質が安定。「シリコーンのため耐候性、耐熱性、耐寒性にも優れる」(中日本ハイウェイメンテナンス)という。現在、日本塗料検査協会で試験を実施しており、性能が実証され次第、実用化する考えだ。

 展示会場では重要なインフラである上下水道などの埋設管の維持管理に関するブースも多く設けられた。安全な洗浄や迅速な調査が求められているのが現状だ。

 東亜グラウト工業はシャーベット状の氷を使って管内の汚れを押し流す「アイスピグ管内洗浄工法」を紹介した。強力な洗浄力を持っているが、薬剤を一切使わず汚染の心配がないのが特長だ。

 同社の呼び掛けで研究会も組織しており、現在、全国的に普及。研究会の田中和彦広報部長によると、道内での施工例はないが、「11月に研修会を開く予定で、15年度に向けて本格的に普及を図る」考えだ。