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中央ニュース

2015/11/30

現場に質の高いトイレ導入 (建通新聞社・建滴)

■環境改善型トイレの普及

 全国建設業協会が9月から10月に行った都道府県協会の会員企業へのアンケートの調査結果によると、女性のいる現場を保有する1200社のうち約25%で女性トイレ、約15%で女性更衣室を設置していることが明らかになった。一方で、男女共用トイレが64・1%、女性更衣室なしが76・6%と最も多かったことも分かった。採用者に占める女性の割合や、女性の技術者・技能者の採用を増やす動きを本格化させようとする中で、今後、トイレや更衣室をはじめとした女性の働きやすい環境づくりが着実に進むことを願いたい。

 女性活躍推進法はことしの8月に成立した。常時雇用労働者が300人以上の事業主に対し、女性の活躍をめぐる自社の状況把握と課題の分析、行動計画の策定などを義務付けた。300人に満たない事業主についても同様の取り組みを努力義務としていることは、経営者にとって看過することはできないだろう。

 将来にわたって担い手不足が最大の課題と懸念される建設産業では、人材の多様性(ダイバーシティー)は不可欠であり、特に女性の能力発揮や就業の継続が可能な職場環境を創ることは、企業活動を継続させるために欠かせない取り組みになるはずだ。女性活躍推進法に基づく行動計画は、このような働き方の在り方≠ゥら組み立て直し、策定されなければならない。

 政府が示した「新3本の矢」の中で提唱した「1億総活躍社会」とは、一人一人が自分らしく、自己実現ができる社会と言い換えることができるだろう。政府が年内の策定に向け急いでいる第4次男女共同参画基本計画の重要ポイントとして「男性中心型労働慣行」の変革が挙げられている。女性が活躍できる環境整備には、男性の働き方の見直しを含めた建設産業界、あるいは社会としての取り組みが欠かせない。もし、女性に不便を強いるような仕組みや設備が現場にあるとしたら、すぐにでも改善すべきであり、男女共に輝ける職場環境を実現したい。

 道路会社は、高速道路に架設している跨道橋やトンネル、ボックスカルバートなどの土木構造物について、長期的スパンで点検することを打ち出している。移動しながらの点検・診断のため、既に女性も使いやすい清潔で個室環境の整った移動式トイレの配備を視野に入れているという。現場には技術者・技能者だけでなく警備員やメーカー、資材業者なども入退場する。現場に行くことが苦ではなくなるような環境整備は、建設産業のイメージアップだけでなく、入職者の増加にもつながることは間違いない。

 国土交通省は建設現場への質の高いトイレの導入を促すとともに、現場トイレを仮設から移動式(リース)に転換することを普及させようと「現場環境改善型トイレ」の導入を9月から試行している。あす12月1日には都内で「建設現場どこでもトイレプロジェクトフォーラム」が開かれる。現場環境を変える一歩となることを期待したい。