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2015/12/25

落橋防止装置の溶接不良 全数検査で再発防止

 国土交通省が設置した有識者委員会は22日、京都府内などで発覚した落橋防止装置の溶接不良を受けた中間報告書をまとめ、同省に溶接不良の再発防止策を提言した。再発防止策の柱は元請けによる品質管理の強化で、装置の製作会社が検査会社と契約して行う検査は、元請けが検査会社と直接契約して実施する形に改めるとともに、現在は一部を抽出して行う検査を全ての装置で行う「全数検査」を導入するよう提言。国交省は、年明け1月以降に公告する工事の特記仕様書にこれらの対策を明示し、元請けに対策の実施を義務付ける。
 溶接不良は、京都府内の国道24号勧進橋の耐震補強工事で、落橋防止装置の製作会社である久富産業が「完全溶け込み溶接」に必要な工程であるガウジングを意図的に省略したために発生したとみられている。製作会社と契約した検査会社も不良データを隠ぺいするなど、製作会社と一体で不正を働いた疑いもある。
 国交省は勧進橋での不正発覚を受け、同省直轄と高速道路会社管理の約5400橋で溶接不良の有無を調査。これまでに690橋に不良品があることを確認し、このうち433橋で不正行為がったことを確認した。
 有識者委員会がまとめた再発防止策では、製作会社と検査会社が一体で不正を働いたことを念頭に、元請けによる品質管理の強化を提言した。元請けが選定した検査会社と直接契約し、完全溶込み溶接部の検査を継手全長を対象に行うことを求める。さらに、これまで全体の10%程度を抽出していた検査対象を全ての落橋防止装置に見直す。
 国交省は、特記仕様書にこれらの措置を明記し、元請けとの契約事項として対策の実施を義務付ける。全数検査の導入で検査費用は「抽出比率から単純に計算して10倍程度になる」(道路局国道・防災課)としているが、工事価格に検査費用の上乗せは想定しておらず「元請けの費用負担は増える」(同課)と見込む。
 再発防止策ではこのほか、元請けにISO9001を取得した製作会社・検査会社の活用を促すことに加え、発注者が非破壊検査の専門家などが同行して抜き打ち検査を行うことなども提言。地方自治体にも、国交省が実施する再発防止策を周知する通知を送る。溶接不良が見つかった落橋防止装置については▽取り換え・追加設置▽溶接不良部分の再溶接▽補強部材の設置―を行う基本方針も示した。

提供:建通新聞社