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中央ニュース

2018/08/21

地域のインフラメンテナンス〜第4次産業革命の胎動〜(2)

第13回建設トップランナーフォーラム(2) 
第1部・ICT技術がメンテナンスを変える―北の大地でICT施工

■現場のニーズに合わせた導入を

 2017年度に創設されたi―Construction大賞で国土交通大臣賞を受賞した砂子組(北海道)。同社企画営業部ICT施工推進室の奥村亜美氏は、第1号工事に認定され、受賞現場となった工事の事例や独自の取り組みを紹介し、「すべての工種、作業にICT技術を導入しても生産性が向上するわけではないので、見極めが大事」と提言し、「現場のニーズを聞き取り、効率的だからICT技術を導入するという、導入へのアプローチの転換が必要」との考えを披露した。2回

 受賞現場の三次元起工測量ではUAVを使用し、飛行経路を作成することで自動飛行での測量が可能となり、「広範囲の面積量でも短時間で測量することができ、人手・手間・時間の削減につながった」と報告。さらに、丁張りのない状態での施工が可能となり、「人の配置がないために安全性が向上する」といった効果も得られた。

 そのほか、三次元モデルを、より精度の高い形で作成し、工事関係者との打ち合わせや教育の場でも活用。そうすることで、「どこに、何を造るのかが分かることによって、実際の工事の際の手戻りや勘違いの防止などに効果を発揮した」。

 同社独自の取り組みも紹介。橋梁補修工事では3Dレーザースキャナーで施工箇所の点群データを取得後、施工前の状況をモデル化し、3D―CADを活用して、二次元図面では見えてこない部分について共有した。奥村氏は「施工前に打ち合わせを行って詳細を決定できたため工程の短縮につながり、詳細がイメージしづらい摺付部分でも手戻りなく施工できた」と、その効果を挙げた。

 ほ場整備の敷鉄板の転用では、SIMの3Dモデルのシミュレーションを利用することで効率的なルートを検討し、連続作業が可能となったことから35日間の工程が25日に短縮された。

 このほか、UAV測量や自動追尾TSを活用した事例などを紹介し、効率化や省力化といった効果を披露。農業土木工事でも大型化するほ場での客土運搬に関する課題を解消するため、使用するキャリアダンプをマシンガイダンス化し活用した。

 土木部門で培ったICTのノウハウを他部門で応用し、幅広い活用方法も検討している同社。奥村氏は「当社ではICT技術は主に人材育成、担い手確保、技術者スキルの向上のために活用してる」との考えを披露。「本気で生産性向上や業務改善に取り組むと、無いものは作るという創造性が生まれる。そして、農業土木でもICT技術の活用の可能性は十分にあり、工事から営農までの情報が維持管理されていくようになると、さらに発展するのではないか」と締めくくった。

提供:地方建設専門紙の会