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2019/09/25

原点回帰〜複業で地域を支える〜

第14回建設トップランナーフォーラム(8) 
第2部 高齢化社会を支える地域建設業 アドバイザーのコメント

■介護の生産性向上やシナジー効果に期待

橋建設業課長_1 第2部では「高齢化社会を支える地域建設業」をテーマに、セントラル建設(岐阜県)と美保テクノス(鳥取県)が介護分野の事業を中心にした複業について報告した。これに対してアドバイザーを務めた国土交通省土地・建設産業局の高橋謙司建設業課長と厚生労働省老健局の武井佐代里高齢者支援課長がそれぞれコメントし、生産性向上に向けて本業とのシナジー効果を創出することやBIMの積極的な活用などを助言した。

 高橋課長は建設業の多角化について「環境、農業、林業などの分野に取り組む企業は多かったが、介護に取り組む企業は少なかった」と指摘。セントラル建設が、介護用品のレンタル事業を通じ、住宅リフォームのニーズをうまく汲み取ったことに触れ、BtoBからBtoCへの展開を高く評価した。

 建設業や介護事業のほか、自然薯(じねんじょ)栽培による農業も手掛けている点に関しては、仕事の平準化など、建設業がいま抱えている課題の解決に向けて、複業によって先手を打っている点で称賛した。

 美保テクノスがサービス付き高齢者住宅などの工事受注に取り組んでいることについては、介護施設は室内のバリアフリーなど通常の設計と違う部分があり、他社と差別化が図られていることを強みだと分析した。

 最後に複業化に関して「成長性、生産性の向上にしっかり取り組む必要がある。いろいろな分野に出ていく企業は本業もしっかりしていて、むしろ本業とのシナジー効果をうまく使っている」とアドバイスした。

 一方、武井課長はまず、厚労省が展望する介護の将来目標を次のように説明した。2025年までに地域包括ケアシステムを完成させる。さらに、2040年をピークに高齢者人口が増加する一方、生産年齢人口は急速に減少。就業者のうち医療・介護サービスで働いている人の割合が将来的に5人に1人になると予測されていることから、健康寿命を3年以上に伸ばしたり、医療・介護サービスの生産性を向上させる。

 そして、高齢者の世帯は持家が多く、その半分が築30年以上となりバリアフリー化が進んでいない点から、セントラル建設の取り組みについて、「在宅での生活を支えたり健康寿命を延ばす点で、住宅リフォームに力を入れるのは素晴らしいこと」と評した。

 美保テクノスの取り組みについては、政府が掲げる介護離職ゼロを達成するために介護施設の建設はまだ需要がある点を指摘。設計・施工にBIMを使い、今後は介護事業の経営支援などでの活用も視野に入れていることに関して、「生産性の向上という視点を介護の世界にしっかり組み込んでいただきたい」とエールを送った。(地方建設専門紙の会)
 ※登場者の肩書は6月28日時点のものです。