2020/05/27
流域治水プロジェクト 全国の一級水系で推進
政府は、「国土強靱(きょうじん)化年次計画2020」の素案をまとめた。2020年度に取り組むべき主要な施策として、堤防整備・強化や河道掘削、ダム・大規模地下貯留施設の整備など、土砂災害や洪水氾濫に備えた事前防災対策を位置付けた。全国の1級水系を対象に、治水対策の全体像を示す「流域治水プロジェクト」(仮称)を早急にまとめ、ハード・ソフト一体の対策を推進する。
年次計画は、国土強靱化基本計画に基づく45のプログラムについて、年度ごとの取り組み事項と成果指標を示すもの。
今回まとめた素案では、主要施策として、▽土砂災害対策、氾濫対策などの事前防災▽流域治水への転換▽AI(人工知能)やロボット・ドローン技術、衛星データの活用▽国土交通省の緊急災害対策派遣隊(TEC−FORCE)の養成―を設定した。
特に風水害については、19年度の台風が甚大な被害をもたらしたことを踏まえ、河川や下水道の管理者が主体となった従来の治水対策から、氾濫域の自治体を含めた全ての関係者が協力する「流域治水」へと転換することを明記。19年の台風で被災した7水系だけでなく、全国の1級水系で流域治水プロジェクトを推進することとした。
主な事業メニューには▽堤防整備▽河道掘削▽ダム再生▽遊水池整備▽排水施設整備▽土地利用の誘導▽水位計・監視カメラの設置―などを挙げている。
さらに、災害リスクの高いエリアを対象とした立地抑制と移転促進などの土地利用対策を推進。土砂災害警戒区域の指定精度向上にも取り組む。
提供:建通新聞社