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2020/10/02

60歳以上で年金未加入 現場入場の特例廃止

 国土交通省は、「社会保険加入に関する下請け指導ガイドライン」の改訂に合わせ、厚生年金保険に未加入の60歳以上の作業員に現場入場を認める特例を撤廃することを決めた。ガイドラインでは、未加入の作業員の現場入場を制限するよう元請けに求めているが、60歳以上の高齢の作業員は、新規に加入しても年金受給資格を得られないため、特例として入場を認めていた。1年半の猶予期間を置いた上で、2022年4月1日以降の請負契約からこの特例を廃止する。
 10月1日の改正建設業法の施行に伴い、社会保険加入が許可要件に位置付けられた。改正法の施行に合わせて改訂したガイドラインでは、社会保険加入確認に建設キャリアアップシステムの活用を原則化したり、偽装一人親方対策を講じるなど、労働者単位の加入指導を厳格化。同日付で適用を開始している。
 ガイドラインでは、社会保険に未加入の作業員の現場入場を認めないよう元請けに求めているが、国交省は16年7月の通知で、特殊技能(伝統建築など)があったり、社会保険に加入手続き中の作業員、60歳以上で厚生年金に未加入の作業員については、現場入場を特例で認めるとしていた。
 同省は、今回の改訂に合わせてこの特例の解釈を変更。22年4月1日以降に契約した工事では、60歳以上で年金未加入の作業員の現場入場を認めないよう、元請けに指導することを求めた。
 16年7月時点では、厚生年金受給の資格期間が25年だったため、高齢の技能者が新たに年金に加入しても受給資格を得ることが難しく、特例として現場入場を認めていた。ただ、年金受給の資格期間は17年8月に10年に短縮され、50歳代の技能者であれば、新たに加入しても受給資格を得ることができる。
 このため、ガイドラインの改訂に伴う9月30日付の通知で、現場の混乱を避けるため、1年半の猶予期間を設けて特例を撤廃し、22年4月以降は現場入場を認めないと明記した。ただ、同じ通知の中では、一人親方ら厚生年金の適用除外の作業員を排除しないことも合わせて求めている。

提供:建通新聞社