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中央ニュース

2020/11/27

待機中の被災 確実な労災適用へ留意事項

 国土交通省は、今年9月の台風10号で宮崎県内の建設業者が災害復旧の待機中に被災したことを受け、待機中に被災しても労災適用を確実に受けるための「留意事項」をまとめる。災害復旧の待機中に被災した建設業者が労災適用を受けるため、文書での待機指示や文書の保存を徹底するよう、地方自治体や建設業者に周知する。国・自治体と建設業者が結ぶ災害協定を見直し、補償をより充実させる方策を検討する。
 11月26日の参議院国土交通委員会で、足立敏之参院議員の質問に青木由行不動産・建設経済局長が答弁した。
 今年9月、宮崎県椎葉村の相生組の住居兼事務所が土石流に襲われ、復旧作業に備えていたベトナム人技能実習生1人が死亡し、現在も3人が行方不明となっている。足立氏は「地域の建設業の役割を果たす中での痛ましい災害。地域の守り手として、災害時に活躍する建設業の適正な評価と処遇改善が必要だ」と述べ、待機中の建設業者への補償の充実を求めた。
 国交省は、災害発生後の9月18日、待機時の作業員らの安全確保を求める通知を建設業団体や自治体などに送付した。ハザードマップで災害拠点の危険性を確認して作業員に周知することや、避難情報に注意して安全確保を最優先に行動することを求める内容だ。
 また、今回被災した死者・行方不明者4人の労災認定についても、厚生労働省と協議している。
 さらに今回の被災を教訓として、災害復旧のために待機する建設業者が被災した場合、確実に労災適用を受けられるための留意事項も整理する。
 厚労省は災害復旧のための待機が労災の適用範囲に当たるとの解釈を示しており、災害発生前に自治体などが協定先の建設業者に文書で指示し、被災した場合に備えてもらう。建設業者側にも指示を受けた文書・メールなどの保存を求める。労災保険に加入できない会社役員らが被災するケースに対応するため、労災保険への特別加入も求める。
 青木局長は「補償をより充実するための方策について、災害協定の見直しも含めて検討するなど、地域の守り手として最前線で災害対応に当たる建設企業の方々がより安心して業務に従事できるよう取り組む」とも答弁している。

提供:建通新聞社