トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2021/04/09

災害復旧工事 入札契約制度の改善提案

 建設経済研究所は、入札不調・不落の発生を防止するため、災害復旧工事の入札契約制度を改善することを提案している。工事着手の遅れを招かないよう、応急復旧の受注者に本復旧を随意契約できるようにしたり、積算基準の見直し、実費精算の適用などにより、受注者の採算性を高める必要性も示す。災害発生時に広域で建設機械を調達できる官民協働会議を設立することも求めた。
 災害復旧工事は、平常時の一般土木工事と比べて1者応札の比率が高かったり、入札不調・不落の発生率が高い傾向にある。技術者・技能者の不足に伴う労務費の高騰、人材確保に伴う経費の増加などにより、受注者が適切な利潤を確保できないことがその背景だ。
 研究所がまとめた建設経済レポートでは、大規模災害が近年発生した被災地で、災害復旧工事の受注者に対するアンケート調査を行ったり、災害復旧工事の入札契約状況を調査した上で、今後の入札契約制度の改善を提案している。
 具体的には、危険が多く、利潤も出にくい応急復旧工事について、受注者と本復旧を随意契約したり、本復旧を追加契約することで、応急復旧への受注意欲を高めるよう提案。施工効率の低下や労務費の高騰で採算性が低下する場合には、復興係数や単品スライドの適用、見積もりの活用により、受注者が適正な利潤を確保できるようにする。
 災害復旧工事の近傍で施工中の工事に一時中止措置を円滑に発動し、技術者・技能者をそのまま活用することも提案。一時中止の期間中の必要経費を全て変更契約の対象とし、発注者が負担することが望ましいとも指摘している。
 大規模災害の発生時に必要な建機の台数を確実に調達するため、国・地方自治体・企業による官民協働会議を設立。広域的なネットワークによる施工体制を確保することも提案した。道路管理者・河川管理者が災害復旧の工事用道路の造成に民地を一時的に借用できる、法制度の必要性も指摘した。

提供:建通新聞社