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2023/07/06

流域治水2.0 全水系でVerアップへ

 国土交通省は、流域のあらゆる関係者が協働して、水害から国民を守る流域治水の取り組みについて、気候変動による治水対策への影響を踏まえつつ、より流域全体をカバーする形でバージョンアップする。全国109の1級水系で重点的に実施する治水対策を取りまとめた流域治水プロジェクトを深化させ、「流域治水プロジェクト2.0」として順次、更新する考えだ。8月から流域の自治体など関係者への説明を進め、2023年度中に全ての更新を終える。
 流域治水プロジェクト2.0では、気候変動を踏まえた治水計画に見直すとともに、あらゆる関係者による流域対策の目標などをより明確に定める。そのために、対策の「量」「質」「手段」を強化し、早期に防災・減災の実現を目指すフレームワークを示した=図参照。
 このうち「質」の強化では、河川から水があふれることも考慮した減災対策を推進する。例えば、下流側から進めなければならないといった河川整備の特徴から、下流側より整備が遅くなりがちな上中流部の治水対策について、越流対策など粘り強い河川堤防の整備を先行して進めることなどを盛り込んでいく。その際、対策の実施時期も詳細に示す。
 また、グリーンインフラやカーボンニュートラルへの社会的な関心の高まりも踏まえ、多面的機能を活用した治水対策も推進することとした。
 流域治水プロジェクトは、国や流域の自治体、企業などが協働し、河川整備をはじめ、雨水貯留浸透施設の整備、土地の利用規制、利水ダムの事前放流など、各流域で実施する治水対策を、事業者ごとに取りまとめたもの。ことし3月時点で、全国109の1級水系と約500の2級水系で策定・公表している。
 ただ、近年は気候変動による水災害が頻発化・激甚化。将来の気候変動による気温上昇を産業革命以前と比べ、セ氏2度以内に抑えるシナリオでも、40年ごろには降雨量が1・1倍、流量が1・2倍、洪水発生頻度が2倍になると試算される。国交省では、現行の治水対策が完了しても治水安全度が目減りすると判断。流域治水プロジェクトをバージョンアップする。
 全国109の1級水系には118の流域治水協議会が設置されている。2級水系は1級水系に続きバージョンアップを進める。

提供:建通新聞社