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2023/07/12

建材・設備の価格高騰 「自社で負担」4割超

 全国建設労働組合総連合(全建総連)が全国の中小工務店を対象として4〜5月に建材・設備の価格高騰の影響を調査したところ、顧客に転嫁できず自社で負担している中小工務店が4割超に上った。昨年7月の前回調査よりも転嫁している割合は大きくなったものの、全建総連は「いまだ転嫁は不十分」と見ている。
 価格転嫁の状況を見ると、「お客様に負担してもらった」という回答は57%で、前回調査からは14・8ポイントアップした。一方、「一部を自社で負担」は38%(9・4ポイントダウン)、「値上がり分を全て自社で負担」は5%(5・4ポイントダウン)で、合計すると43%といまだ大きな割合を占めている。
 転嫁できなかった理由は「既に見積書を提出していた」(78%)が最多だった。以下、「同業他社との競争があるため」(47・1%)、「価格交渉・契約変更に応じてもらえなかった」(18・5%)が続いた。
 こうした中、受注に影響が出ているとする声も上がった。前年同月と比べて受注が「減少」したとの回答は38・1%で、前回調査からは8・2ポイントダウンしたものの、いまだ大きな割合を占めている。理由としては、「問い合わせや工事の依頼そのものが減っている」(26・7%)、「工事金額が高くなり契約が成立しない」(25・1%)などが多かった。
 こうした現状を受け、住宅リフォーム・新築工事に対する補助事業の拡充や、国産木材の安定供給支援などの要望が寄せられた。
 調査の回答者からは、同業他社との競合もあって値上がり分を見積りに転嫁できず、結果的に「利益を圧縮して対応している」とする声が寄せられた。コロナ禍対策として政府が進めた無利子無担保融資の返済が始まった一方で工事受注の拡大が追いつかず、資金繰りの悪化を危ぐする回答者もあった。
 調査は全国33都道府県の877社から回答を得た。年間売上高1000万円以上〜5000万円未満の中小工務店が全体の約半数を占めている。

提供:建通新聞社