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中央ニュース

2023/12/04

気候変動への対応 地下空間利用に期待

 国土交通省による有識者を交えた「浸水被害軽減に向けた地下空間活用勉強会」の第6回会合が開かれ、これまでの意見の取りまとめが行われた。「気候変動により増加する河川流量に対応していくためには、堤防があるような河川の地下空間の利用も期待される」といった意見が示された。
 勉強会は、氾濫すると甚大な被害が生じる、都市部での河川の治水対策を想定して、3月に立ち上げた。例えば、東京や大阪などの都市部では、堤防のない堀込構造の河川で、主に地方自治体による地下河川の整備が進んでいる。
 一方で、堤防のある河川では、地下に工作物を設置すると堤防や護岸に悪影響が生じるリスクが高まることから、省令などで地下空間の利用を制限しており、地下河川を計画しにくい状況にある。直轄河川は有堤区間が多く、これまで地下河川を整備した事例は、江戸川での首都圏外郭放水路の1件にとどまる。気候変動による河川流量の増加へ対応するため、全国の河川で河川整備計画の見直しも進んでいる。
 そこで、有堤河川の地下を利用する場合の課題を検討会で整理してきた。
 12月1日に開かれた第6回会合では国交省が、これまでの有識者や建設業界関係者の意見を、「地下空間活用の有効性と活用ルール」「地下空間活用のゾーニング」「安全性・施工性」といった七つの観点から分類し整理した。
 有効性では、「今後の気候変動による河川流量の増加に、河川断面の拡幅で対応するには、河川周辺の土地利用の状況などから、限界がある河川も多い。地下空間の利用は、今後の河川整備計画を検討する上で期待は高い」。
 他の観点では、「他事業との兼用施設として整備すればコスト面で有効」「地下利用に当たっては誰がどの層を利用するかをあらかじめ決めておくべき」「整備に際しては河川と下水など、多様な主体と連携し、整備や維持管理のコストを分担することで、それぞれの負担を少なくすることを考えるべき」などの意見を盛り込んだ。

提供:建通新聞社