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2023/12/13

工事関係書類 削減へ五つの支援メニュー

 国土交通省は、2024年4月から時間外労働の上限規制が建設業に適用されることを踏まえ、受注者を対象とする工事関係書類の削減に向けた五つの支援メニューをまとめた。支援メニューのうち検査書類を3割程度にまで削減できる「検査書類限定型工事」の取り組みは、これまで条件付きで実施してきたが、24年度から「原則実施」を目指す。残る四つは、工事書類スリム化のポイントの横展開、ウィークリースタンスの適用拡大、適正な費用計上、工事関係書類の標準様式統一化となっている。
 検査書類限定型工事は、工事完成後などの資料検査で、監督職員と技術検査官の重複確認をなくし、受注者が検査時に用意する書類を44種類から10種類へ約3割にまで削減する取り組み。削減対象となる34種類の書類は、監督職員が施工プロセスチェックなどで確認し、技術検査官に報告することでよいものとする。
 これにより、受注者は施工プロセスチェックと検査時に重複して資料を用意する必要がなくなり、検査時に用意する資料が、▽施工計画書▽施工体制台帳▽工事打合せ簿(協議)▽同(提出)▽同(承諾)▽出来形管理図表▽品質管理図表▽材料品質証明資料▽品質証明書▽工事写真―の10種類に限定される。
 ただ、現状は「協議の上実施できる」という条件付きで実施を認めている。
 国交省の実績調査によると、検査書類限定型工事は22年度に、直轄工事6752件のうち、5624件(全体の83%)で活用があった。活用のなかった1128件(17%)について、各地方整備局の担当者に理由を聞いたところ、「特記仕様書に記載がない」「制度のことを知らなかった」といった意見が多数見られた。一方、活用した工事では受発注双方でおおむね評判がよかったという。
 そこで、全ての工事を対象に、特記仕様書記載例を検査書類限定型工事の実施要領に記載し、「協議の上実施できる」から「原則、実施」へ実施要領を改定することとした。
 工事書類スリム化のポイントの横展開では、地方整備局ごとにガイドライン・リーフレットなどを作成し、受発注者の横展開を目指す。近畿地方整備局では年内の作成・公表を予定している。
 スリム化のポイントは、▽工事書類の原則電子化(ASP活用)▽受発注者間で作成書類の役割分担を明確化▽作成・添付不要な書類の明確化▽書類の二重作成・提出防止▽検査書類限定型工事の活用▽遠隔臨場を活用し、段階確認、材料確認、立ち会いの効率化―の六つ。
 この他、ウィークリースタンスでは、全ての工事・業務に適用を拡大・徹底する。適正な費用計上では、バックオフィス業務の費用などの動向調査を実施し、積算のさらなる適正化につなげる。工事関係書類の標準様式統一化は、九州・沖縄ブロックの6自治体との取り組みを好事例として横展開を図る。当面は、直轄の全34様式のうち27様式の統一化100%を目指す。

提供:建通新聞社