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2024/02/05

一人親方の実態 裁量低い者も

 国土交通省が一人親方の働き方に関する実態調査を実施したところ、仕事の配分や進め方を自分で決められなかったり、報酬を日給とされたりしている一人親方が全体の過半数に及ぶなど、一人親方として在るべき仕事の裁量が低い者が一定数確認された。実態調査は、2023年11月14日〜24年1月18日に実施。3244件の回答があり、法人格を持つ一人親方などを除いた1612件の回答について国交省で分析・整理した。
 仕事の裁量は、一人親方の働き方の適正性を簡易に確認できる「働き方改革自己診断チェックリスト」のチェック項目と同じ、「仕事の依頼を断る自由がある」「仕事の配分や進め方を自分で決められる」「就業時間を自分で決められる」「代役を立てられる」「報酬の決められ方(出来高見合いか日給か」「材料・資機材などの多くを自分で用意する」「他社の業務へ従事できる」「同種業務に従事する正規社員との報酬額の比較」―の8点を確認した。
 このうち「仕事の配分や進め方を自分で決められる」では、全体の50・9%が「いいえ」と回答。「報酬の決められ方」では、「日給」とした回答者が54・5%となり、一人親方の報酬として本来あるべき「出来高見合い」の39・8%を14・7ポイントも上回った。「材料・資機材などの多くを自分で用意する」も53・2%が「いいえ」と回答。仕事の裁量が低いと思われる一人親方の割合がいずれも過半数に及んだ=グラフ参照。
 さらに「同種業務に従事する正規従業員との報酬額の比較」は、「正規従業員と同等もしくは低額」と回答した一人親方が全体の37・7%となり、「高額」の35・0%を2・7ポイント上回った。同項目に関しては、建設企業を対象とした別の調査結果から、一人親方と契約する際に、6割を超える業者が見積書の作成・提出を求めていない実態も判明した。

◇2割が一人親方で働くよう言われた◇
 
 今回の実態調査では、一人親方に「希望する働き方」も確認。最多回答は「今後も一人親方として働きたい」で全体の72・7%を占めた。「できれば雇用労働者として働きたい」とした回答は6・6%にとどまったが、このうち、18・7%が一人親方として働いている理由について、「取引先から一人親方で働くように言われている」と答えた。国交省の担当者は、社会保険加入を逃れるための偽装が疑われるとしている。
 国交省では、働き方自己診断チェックリストの活用を促進するための方策をまとめるなど、規制逃れを目的とした一人親方問題に対する取り組みを強めている。実態調査は今回が初めて。

提供:建通新聞社