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2024/12/17

群マネ、11地域で実施方針 試行発注踏まえ水平展開

 市町村の枠や、インフラの種別をまたいでメンテナンスを行う「地域インフラ群再生戦略マネジメント」(群マネ)の試行が本格化する。国土交通省の支援を受けた11のモデル地域が、年内に実施方針を作成。25年度にかけて順次、試行工事・業務を発注する。得られた知見は来夏にまとめる手引きの作成に生かし、群マネの水平展開につなげる。群マネを実施しやすくするための制度改正も今後、検討する。
 群マネは、複数市町村でまとめてインフラメンテナンスを発注したり、道路・河川といったインフラの種別を超えてメンテナンスをまとめて発注する取り組み。インフラの老朽化や発注者側の技術職員不足に対応する。メンテナンスの効率化、受注者である地域建設業の経営安定化にもつなげる。
 国交省は12月16日、全国11カ所のモデル地域での取り組み状況を有識者検討会に報告した。各地域とも年内に実施方針を公表し、発注の準備を進める。先行する地方自治体は年度内にも群マネ手法によるメンテナンス工事や点検、維持管理業務を発注する。
 モデル地域の取り組みを見ると、発注者側の体制としては、和歌山県と1市3町で橋梁の集約再編計画を共同策定するような垂直連携や、大阪府貝塚市と7市4町による道路や公園、下水道の維持管理の共同発注のような水平連携がある。道路と河川、公園の日常維持管理をまとめて発注する秋田県大館市のように、多分野連携の取り組みも進む。
 発注形態に着目すると、兵庫県豊岡市と2市2町では、道路橋梁補修をマネジメントと補修設計、修繕工事を行う企業グループに一括発注することを想定。奈良県宇陀市は県内3村との協定に基づき広域で道路メンテナンスの計画、点検、設計、施工の包括的民間委託を行う。

■「小規模自治体に緊急宣言を」

 検討会では、政策研究大学院大学の家田仁特別教授が人口3万人以下の自治体について「緊急宣言」を出すよう国交省に提言した。メンテナンスを担う地域建設業の高齢化やデジタル対応の遅れを指摘し、「抜本的な業界の改善を通じて地域インフラ産業への転換を進めるべき」と述べた。
 同大学の小澤一雅教授は、自治体の予算や体制、地域建設業者の状況に応じて活用可能な政策、支援を提供する必要があるとした。
 メンテナンス関係の補助金、交付金を複数年契約で使いやすくするなど、群マネを実施するための制度整備を求める意見も出た。

提供:建通新聞社