複数掛金制度の導入や民間工事への普及、電子申請方式に対するインセンティブなど、今後の建退共制度について議論する「建退共制度検討会議」が発足し、4月25日、都内で初会合が開かれた。建退共の退職金額1000万円超を目指す勤労者退職金共済機構の建退共事業本部は、掛金日額(320円)を上乗せできる複数掛金制度の導入を検討しており、関係団体や有識者が参加するこの会議の成果を厚生労働省に報告。制度の見直しを求める。
検討会議を立ち上げた勤労者退職金共済機構の梅森徹理事長は、初会合の冒頭で「建設業の担い手の確保が大きな課題となっている中で、現場で働く労働者の将来を担う建退共制度の在り方を検討する必要が生じている」と強調。「導入を目指している複数掛金制度が業界にとって使い勝手の良いものになり、真に労働者の処遇改善につながるよう、業界の意見を聞かせてほしい」と呼び掛けた。
労働政策審議会の中小企業退職金共済部会は今年3月、技能者の処遇を改善するため、複数掛金制度の導入を検討するよう、厚労省に提言。検討会議はこの提言を受けて設置された。
現在、建退共の掛金は日額320円と単一で、この掛金を37年間納付した場合の退職金は388万円となり、他産業と比べて大きな差がある。元請け・事業主が掛金を上乗せできる複数掛金制度が導入されると、建退共事業本部が目指している退職金額1000万円超も実現できるようになる。
建退共事業本部は、今秋に電子申請システムを改修し、建設キャリアアップシステム(CCUS)からワンタッチでの建退共の就労実績登録を可能にする。この「完全連携」を見据え、CCUSの能力評価のレベルに応じ、掛金を上乗せできるようにする考えだ。
一方、複数掛金制度の導入には、建退共制度の根拠である中小企業退職金共済法の改正が必要だ。今年3月、自民党の会合に出席した全国建設業協会の今井雅則会長は、技能者の生涯年収を引き上げる必要性を訴え、複数掛金制度導入のための法改正を求めた。
検討会議のテーマには、民間工事での建退共の普及拡大もある。公共・民間を問わず技能者の建退共への加入を促進するため、関係団体や有識者の意見を聞く。電子申請方式の利用率を高めるため、電子申請の利用者に対するインセンティブについても検討する。検討会議は、6月に中間報告をまとめる見通しだ。
提供:建通新聞社