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2025/05/01

技能者不足が深刻化 「一人も採用できず」41%

 建設産業専門団体連合会(建専連、岩田正吾会長)が2024年度に行った調査で、専門工事業の技能者確保がさらに厳しくなっている実態が分かった。採用状況に関する設問で「必要だったが一人も採用できなかった」と回答した割合が41・1%を占めた。調査を主導した芝浦工業大学の蟹澤宏剛教授は、工業高校生が就職先としてゼネコン、ハウスメーカーを選ぶようになり、専門工事業の人材獲得が困難になっている実態を指摘した。
 建専連が傘下団体の会員企業を対象に調査した。回答企業は1次下請けが中心で、社員数10人〜29人が45・2%と半数近くを占めた。
 技能者の採用状況について聞くと、「必要だったが1人も採用できなかった」が41・1%で最多となった。「採用できたが予定人数を下回った」の24・1%と合わせると、65・2%が必要な採用数を満たしていない。「予定通り採用できた」は19・1%、「必要なかったので採用しなかった」は15・7%だった。社員数が少ないほど「一人も採用できなかった」と回答した割合が大きかった。
 蟹澤教授は、ゼネコン、ハウスメーカーが工業高校生の採用を積極化しているため、「専門工事業に人が回ってこない」現状があるとした。このため、専門工事業の労働条件を改善できるよう、工期確保や現場閉所に向けた元請け・発注者の協力が必要だとした。「業界を挙げてエンドユーザーである国民にしっかり訴えないと変わらない」とも 述べた。

■休日実態、規則上の日数下回る

 週休2日の取り組み状況についても調べた。就業規則で「4週8休以上」を設定している割合は27・5%となり、前年度から1・6ポイント増えた。最多は「4週6休程度」の34・9%で、前年度とほぼ同じ。
 一方、実際に「4週8休以上」を取得できているのは10・3%で、規則上の設定を実態が大きく下回る結果となった。4週8休以上の閉所を確保できていた現場割合についても「ほとんどの現場で確保」は8・9%とごく一部にとどまった。時間外労働の罰則付き上限規制が24年度から適用されたものの、閉所数や休日数は大きくは増えなかった。
 蟹澤教授は、実際に休日を確保することが難しくとも、就業規則上に4週8休を位置付ける重要性を指摘した。土日に出勤した技能者に代休を取らせたり、割増賃金を払うようにすることで、処遇の改善とともに、元請けが短工期を設定することへの歯止めとなる効果が期待できるとした。

提供:建通新聞社