日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)の調べで、会員企業が受注した土木工事のうち、元請け社員の労働時間が時間外労働の原則ルール(月45時間、年360時間以内)を超過した現場が39%あったことが分かった。原則ルールを超過していても、実際には特別条項付きの三六協定を結んで法令を違反していないものの、会員企業からは時間外労働の上限規制を順守するため、適正な工期設定や工期延期、提出書類の削減を求める声が依然として強い。
会員企業が受注し、2023年10月から24年9月に完成・施工中だった土木工事1465件の時間外労働について回答してもらった。
時間外労働の罰則付き上限規制が建設業に適用されて以降、初めての調査結果で、時間外労働の原則ルールを守れなかった現場は前年の67%から39%へと大幅に改善した。発注機関別では、中部地方整備局が原則ルールを超過した現場が15%(前年調査81%)と最も少なかった。
日建連は今回の調査結果を受け、時間外労働のさらなる削減を目指し、受発注者が連携して取り組む必要があるとしている。同じ調査では、時間外労働を削減するために発注者に求めることを聞いており、「当初発注における適切な工期設定」を挙げる会員企業が44%と最も多かった。条件変更などがあった場合の適切な工期延期を求める声も全体の33%から挙がっている。
■資機材・運搬費が上昇
調査では、時間外労働の上限規制の影響により、資機材・運搬費が上昇していたり、資機材の納入日・時間の指定が難しくなっていたりする実態も浮き彫りになっている。
資機材や運搬費が上昇したと回答した会員企業は全体の36%あり、コストの上昇幅が1〜2割と回答した企業が38%に上っている。資機材の納入日や納入時間の指定が難しいと回答した企業も22%いた。
コンクリート打設やクレーン作業などの作業時間に制約が生じていることに伴い、積算基準や歩掛の見直しを求める会員企業も28%いた。また、発注者が資機材のストックヤードやクレーンの待機場所を確保することを求める声も出ている。
提供:建通新聞社