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中央ニュース

2025/05/09

改正労働安全衛生法が成立

 労働災害から個人事業者を保護するための改正労働安全衛生法が、5月8日の衆院本会議で可決、成立した。2021年5月の建設アスベスト訴訟の最高裁判決を踏まえ、個人事業者の法的な位置付けを明確にし、一人親方ら個人事業者を労働安全衛生法の保護対象に追加する。労働災害の報告制度を創設する他、個人事業者自身にも特別教育の修了を義務付ける。
 改正法では、雇用された労働者ではない個人事業者や中小事業主・役員らも労働安全衛生法の保護対象とする。元方事業者などには個人事業者に対する労働災害防止措置を求め、個人事業者には元方事業者などが講じる措置の順守を罰則付きで義務付ける。労働者と同様に、安全衛生教育の修了も義務付ける。
 個人事業者の労働災害を網羅的に把握する仕組みがないことから、労働者死傷病報告の仕組みを参考として、個人事業者の業務上災害の報告制度も創設する。
 また、23年度の精神障害の労災支給決定件数が過去最多となったことを踏まえ、職場のメンタルヘルス対策も強化。従業員が50人未満の事業所にもストレスチェックを義務付ける。改正法の公布から3年以内に施行する。
 化学物質による労働災害を防ぐために導入された自律的管理制度も見直す。化学物質の譲渡・提供時の危険性・有害性情報の通知義務を違反した場合の罰則を設け、改正法公布から5年以内に施行する。有害物質を取り扱う作業者に対する個人ばく露測定は、作業環境測定士などの資格者による測定を義務付ける。
 労働者に占める高年齢労働者の割合が増加し、労災発生率も高まっていることから、高年齢労働者が働く作業環境の改善や作業の管理などを事業者の努力義務とする。厚労省は今後、事業者が講じるべき措置について指針定め、事業所を指導、援助する。
 改正法は、一部規定を除き、2026年4月1日に施行する。

提供:建通新聞社