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2025/05/09

若手の離職理由は「転勤」 技術者交代に課題

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は、若手技術者の離職の背景に監理技術者制度があるとして、公共工事での運用改善を求めている。入札時に厳しい技術者要件を設定されたり、工期内に同じ技術者の現場従事を求められたりするなど、技術者の途中交代が困難な要件が設定されている。こうした制度運用が若手の離職だけでなく、技術者の固定化や女性技術者の配置の障害などにもつながっているとして、柔軟な人事異動を容認できるよう、途中交代の交代理由の要件緩和や手続きの簡略化を求めている。
 日建連の会員企業18社に調査したところ、20歳代の平均離職率は2017年に4・8%だったが、22年に6・7%へと上昇。離職の理由を「転勤・異動」とする離職者が67%を占めており、結婚や育児などのライフイベントに対応できず、転勤のない企業に転職するケースが増えているという。
 日建連は、公共発注者の監理技術者制度の運用が、柔軟な人事異動の障害になっているとして、制度の運用を緩和するよう求めている。
 国土交通省の「監理技術者制度運用マニュアル」では、監理技術者を交代できる一般的な条件を出産・育児・介護・退職などとしているが、入札の公平性が求められてる公共工事では、交代が認められる基本的な条件を入札前に示した範囲にとどめるべきとしている。
 このため、国交省の直轄工事でも、出産・育児などを交代の条件と明示するケースと、明示しなケースがある。一方、工事の継続性において支障がなければ監督職員との協議によって交代できる(中部地整)、工期2年以上の工事で1年以上の期間連続して従事した場合(近畿地整)など、独自に交代の条件を定めている地整もある。
 日建連は、柔軟な交代条件を提示する工事を横展開するなど、交代理由の要件緩和を要望。発注者に交代理由を記載した申請書を提出すれば交代を認めるなど、手続きの簡略化も必要だとした。短期間であれば、一時的に代理の技術者を配置し、監理技術者が自宅からフォローすることも可能だと提案している。

■専任補助者 全地整でルール統一を
 
 また、経験の少ない若手技術者を育成するための「専任補助者制度」の対象工事の拡大も求める。国交省の直轄工事では、専任補助者制度の活用工事が少なく、地整によって要件も異なる。日建連の会員企業は全国的に技術者を配置する必要があるため、調整がつかず、活用率も低いという。
 このため、専任補助者制度を全ての工事に適用した上で、全ての地整でルールを統一することを要望。具体的には、専任補助者の工事実績の要件を緩和し、複数の現場を指導できる体制へと移行。現場の技術者が全ての責任を負う体制から、会社全体で責任を負う体制への転換を実現すべきだとしている。

提供:建通新聞社