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中央ニュース

2025/05/21

インフラ・建築LCC削減 環境行動計画改定

 国土交通省は、環境行動計画の改定案に、インフラ整備と住宅・建築物の両分野でライフサイクル全体のCO2(LCC)排出削減に取り組むことを盛り込んだ。使用段階だけでなく、部材の製造から解体までに発生するCO2を削減するため、排出量の算定・評価の仕組みづくりや、脱炭素化に効果のある建機・材料の開発といった施策に省を挙げて推進する。
 5月20日に開いた社会資本整備審議会グリーン社会小委員会で改定案の本文を提示した。脱炭素の取り組みを経済成長につなげる国土交通GXの推進をはじめ、環境課題の解消に向けて国交省が取り組むべき事項を七つの施策の柱に沿って位置付けた。インフラ・建築物を巡っては、使用段階の省エネ化に関連した施策に加え、施工段階に着目した施策が必要だとした。
 インフラ整備については、建設機械の稼働や、建設材料の製造・運搬など直接関連する活動に伴うCO2の排出量が、日本全体の13%を占めるとする推計を示した。その上で、道路や上下水道といったインフラの利用段階だけでなく、整備段階での排出量削減に取り組むことを明記した。
 具体的な施策としては、建設機械の電動化をはじめ燃費性能の優れた建機の普及を促進する。低炭素型コンクリートなどのグリーン建材・新技術について、品質・費用対効果を評価するとともに、活用促進へインセンティブを設ける。脱炭素化につながる技術開発も推進する。
 ICT施工をはじめ建設現場の省人化・効率化、道路橋の長寿命化もCO2削減に資するとした。発電利用されていない既存の治水ダムを対象に再生可能エネルギー発電設備の導入・改修も進める。
 建築物については、LCCの算定・評価を促進する新制度を構築する。建材・設備の製品ごとにCO2排出量の原単位を整備し、設計時に数量からLCCを算定できるようにする。CO2排出削減につながる建材・設備が市場で評価される環境を整え、普及を後押しする。
 特に官庁施設を対象として、LCC削減に先行して取り組む。まずは設計段階の施設を対象に、LCCの算定・評価を試行する。
 2021年に策定した現行の環境行動計画は、30年度までに国土交通分野で取り組むべき内容を示した。気候変動のさらなる深刻化や、資源循環の社会的な要請の高まりといった情勢の変化を受けて、環境行動計画を改定することにした。

提供:建通新聞社