2020年10月に施行された建設業法の事業承継認可を活用し、事業の譲渡・譲り受けを選択する許可業者が増えている。事業の譲渡・譲り受けを選択した許可業者が、建設業許可を空白期間なく引き継ぐことができるこの制度の認可件数は、3月末までの4年半で4000件を超えた。休廃業・解散する建設業は増加し続けており、事前認可制度を活用した事業承継が定着してきている。
建設業許可では、後継者のいない企業が事業を譲渡したり、別会社を吸収合併しても、消滅する企業の許可を引き継ぐことを認めず、新会社は許可を新規で取得する必要がある。このため、新会社は、申請から許可を取得するまでの1〜4カ月間にわたり、消滅会社の許可で工事を請け負うことができなかった。
事業承継認可では、事業承継時に事前に許可行政庁の認可を受けると、1〜4カ月の許可の空白期間がなくなり、合併効力の発生日に許可を引き継ぐことができる。異業種間の承継にも適用できるため、承継先が建築主体の許可業者でも、承継元のとび・土工工事業の許可を承継できる。
20年10月に施行されたこの制度の累計の認可件数は4482件に上っている。内訳は、「譲渡・譲り受け」が3721件、「合併」が285件、「分割」が161件、「相続」が315件だった。全体の83・0%を事業の譲渡・譲り受けが占めており、廃業を考えている許可業者から企業を譲り受けるケースなどで、この事前認可の活用が進んでいる。
知事許可・大臣許可の区分で見ると、事前認可を活用して事業を承継した件数も116件あった。
年間1000件前後のペースで事前認可の活用が進む一方、建設業の休業・廃業は依然として増加傾向にある。帝国データバンクの調べによると、
24年の建設業の休廃業・解散は8182件となり、前年と比べ7・3%増加した=グラフ参照。3年連続の増加だ。
技術者・技能者だけでなく、建設業の経営者も高齢化が進んでいる。帝国データの別の調査では、1995年の平均54・2歳から2024年に60・2歳まで高齢化が進んだ。
経営者の高齢化だけでなく、後継者不足や資材価格・人件費の上昇など、特に中小建設業にとって厳しい事業環境が続いており、黒字や資産超過のまま休廃業・解散を選択する企業も多いという。
提供:建通新聞社