厚生労働省は、熱中症に関する労働安全衛生規則の改正について、5月20日付けで都道府県に通知し、関係者への周知徹底を呼び掛けた。改正安衛則では、熱中症を発症した可能性がある労働者を早期発見し、重症化を防止するために事業者が講じるべき措置を定める。6月1日施行する。
熱中症を発症する恐れのある作業を行う事業者は、熱中症の発症について報告体制を整備する必要がある。合わせて、熱中症を悪化させないために必要な措置・手順の作成と周知も求められる。
「熱中症を発症する恐れのある作業」とは、湿球黒球温度(WBGT)が28度以上または気温が31度以上の「暑熱な場所」で、継続して1時間以上または1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれる作業と定義。
事業場内外の特定の作業場のみを指すのではなく、出張先の作業や、労働者が移動して複数の場所で行う作業、作業場所から作業場所への移動なども含む。
一人親方など、労働者と同一の場所で作業する労働者以外が熱中症を発症した場合や発症していると疑われる場合も、事業者が定めた報告体制にのっとって報告する必要がある。複数の事業者が混在して作業する建設現場では、全ての元方事業者と関係請負人の事業者に措置義務が生じるため、各事業者が共同して一つの緊急連絡先を決め、作業者の見えやすい場所に掲示しなければならない。
厚労省は、熱中症発症者を早期に発見するため、責任者などによる作業場所の巡視、2人以上の作業者がお互いの健康状態を確認するバディ制の採用、ウエアラブルデバイスを用いた熱中症のリスク管理などを推奨している。
提供:建通新聞社