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2025/05/23

若手技術者の育成・定着 柔軟な途中交代求める

 若手技術者の定着・育成に向けて、監理技術者の途中交代の柔軟な運用を求める声が建設業団体から上がっている。特に公共工事では、発注時に設けられる技術者の実績要件がネックとなり、途中交代を難しくしている。育休や介護といったライフイベントに対応できない労働環境が、若手技術者の離職要因になっている実情もある。
 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は2025年度の「公共工事の諸課題に関する意見交換会」で、技術者配置の運用見直しを求めている。入札時に厳しい技術者要件が課されることで、途中交代の可能な技術者を手配することが難しくなり、技術者の交代が事実上、できなくなるような実態があるとした。
 会員企業への調査では、若い世代ほど離職率が高い傾向にあった。離職の理由は「転勤・異動」を挙げた割合が67%を占めており、ライフイベントに応じて柔軟に人事配置できる体制が必要だとした。
 ゼネコンの労働組合で構成する日本建設産業職員労働組合協議会(日建協、木浪周作議長)も、25年の政策提言書に、技術者交代の柔軟化を盛り込んだ。傘下団体の組合員を通じて、若手技術者が産後パパ育休(出生時育児休業)を取得する際の課題についてアンケート調査を行ったところ、土木・建築現場に従事する技術者のいずれも68%が「交代の技術者を配置するのが困難」を理由に挙げたためだ。
 公共・民間の現場を問わず、監理技術者制度運用マニュアルでは監理技術者の途中交代について、技術者の死亡や傷病だけでなく、育児・介護といった条件も挙げている。マニュアルに記載された途中交代の条件は、あくまでも最低限の基準。最終的には適切に施工管理をできるか、品質を確保できるか、という観点で受発注者間の合意で決められる。
 ただ、監理技術者制度運用マニュアルでも、公共工事については原則として「同等以上の技術力を有する技術者との交代」を求めている。入札時の要件としたり、加点の要件とされている以上、公平性を担保する必要があるためだ。
 日建連は国交省との意見交換で、発注時に技術者に求める実績などの要件を緩和するよう提案した。同等の技術者の確保が従前よりも容易になれば、公平性を担保したまま交代しやすくなる。
 技術者の交代要件に「育児休業」などを追記するなど、運用面での緩和案も提示した。技術者を交代せずとも、一時的に代理者を現場に立てて監理技術者が遠隔でフォローするような体制も提案。ICTを活用し、従来より柔軟な働き方を実現するとした。

提供:建通新聞社