盛土規制法の経過措置が5月25日までに終了し、同法の規制区域を指定した都道府県・政令市・中核市が全体の8割を超えたことが、建通新聞社の調べで分った。国土交通省が4月1日時点に把握していた66団体から、111団体まで規制区域の指定が進んだ。25日までに規制区域をしていなくても、2025年度末までに区域指定を予定していたり、独自条例を制定したりする自治体が大半だ。
盛土規制法の運用には、都道府県と政令市、中核市が、市街地や集落などを対象とする「宅地造成等工事規制区域」と、山間部や農地などを対象とする「特定盛土等規制区域」を指定する必要がある。区域内で盛土や切土を実施する場合には、許可や届け出が必要となる。宅地造成等工事規制区域は、もう一方の区域と比べて小規模な工事規模でも許可申請が求められる。
無許可での盛土や命令に違反した場合は、懲役3年以下・罰金1000万円以下(法人の場合は3億円以下)の罰則が科される。
建通新聞社の調べによると、5月26日時点で規制区域を定め、運用を開始した自治体は全国129団体のうち86・0%に当たる111団体。国交省がまとめた4月1日時点の規制状況では、51・1%に相当する66団体が規制区域を指定しており、この時点から経過措置が終了するまでに区域指定した自治体の割合は30ポイント以上増加した。
5月26日までに盛土規制法による規制が開始されない団体のうち、25年度中には11団体が規制を開始する予定で、26年度以降の規制開始を予定しているのは7団体となっている。
宅造法から切れ目なく盛土規制法で規制を継続する場合、経過措置が終了するまでに規制区域を指定しなければ、規制の空白期間が発生し、不適切な盛土が行われてしまう可能性がある。
たあ、盛土規制法による規制を掛けなくとも、条例によって不適切盛土を防ぐ方法もある。例えば、新潟県は7月中旬から規制を開始するとしているが、法改正のきっかけとなった静岡県熱海市での土石流災害を踏まえて、「新潟県盛土等の規制に関する条例」を制定。22年7月に施行している。
この条例により、3000立法b以上の盛土を実施する際には許可が必要となり、条例に違反した場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される。この条例は、盛土規制法による規制開始とともに廃止する予定。
また、そもそも宅造法による規制を掛けていなかった自治体は、経過措置が適用されないため、5月26日までの区域設定を急いでいないという側面もある。
提供:建通新聞社