国土交通省は、公共建築工事の発注者向けに「官庁施設の設計業務等積算基準および同要領」の解説をまとめた。本省の大臣官房官庁営繕部と各地方整備局に設けている窓口に寄せられた建築分野の相談を踏まえ、留意すべき事項を整理。特に質問の多かった、設計業務を委託する際の一般業務と追加業務の区別について、業務例を挙げて違いを例示。地方自治体などの公共建築工事の発注者に適切な積算を呼び掛けている。
官庁施設の設計業務に関する積算基準・要領は、2009年の制定以降、順次改定を加えてきた。現行の基準・要領は、業務報酬標準の改正や設計業務の実態調査結果を踏まえて24年に見直した。その後、公共建築相談窓口で質問が多かった内容を踏まえ、新たに解説資料をまとめた。
解説では、委託する業務内容について契約図書に明示した上で、適切に設計業務委託料を積算することを明記した。特に、設計業務の受注者に対し、設計意図伝達業務・工事監理業務を委託する場合は、それぞれの業務内容を契約図書へ明示するよう求めた。
設計委託時の一般業務と追加業務の区分については、業務報酬基準ガイドラインに基づき設定することを基本とする。一般業務には設計内容の説明資料作成、計画通知・建築確認申請に伴う打ち合わせ・書類作成、工事概算書の作成が該当するとした。
一方、追加業務については、積算業務や模型制作、法令・条例に関する事前協議、概略工事工程表の作成、BIMデータ作成などが該当するとした。
一般業務の一部を委託の範囲外とする場合は、積算時に対象外業務率を設定できるとした。ただし、契約図書などで委託の範囲外となる業務があることを明示する必要がある。
改修工事の設計業務で、既存図面を発注者が貸与するときの考え方もまとめた。CADデータの提供により業務量の低減が見込める際は、実情に応じて適切に計上することとした。
工事発注に当たっては、公共建築工事積算基準と、その運用に関する取り組みをパッケージ化した「営繕積算方式」の活用を促した。改正品確法に位置付けられた発注者の責務を踏まえ、工事受注者が適正な利潤を確保できるよう予定価格を定めることや、週休2日・天候などを考慮した工期を設定することを求めた。
提供:建通新聞社